SBI証券とトレードワークス、ブロックチェーン証跡基盤を証券システムで実証

AI時代の監査証跡管理へ

金融システム開発を手がけるトレードワークス(TradeWorks)が、SBI証券と共同で、ブロックチェーン証跡基盤「ラストエビデンス(LastEvidence)」を活用した概念実証(PoC)を7月1日に開始したと7月13日に発表した。実証期間は8月末までの予定だ。

今回の実証では、SBI証券の証券取引システムにおける特定の業務プロセスを対象に、証券システムの操作履歴を改ざん・削除されにくい形で記録・管理できるかを検証する。具体的には、システムログの改ざん検知や証跡データの保全、既存システムとの連携性などを確認する。

今回実証するラストエビデンスは、こうした証跡を改ざんされにくい形で記録・検証するためのブロックチェーン証跡基盤だ。証跡とは、「誰が、いつ、何をしたか」を後から確認するための記録を指す。つまり、資産や決済をブロックチェーンで管理するのではなく、金融システムの操作履歴や取引記録を信頼できる形で残すための基盤となる。具体的には、ログのハッシュ値をブロックチェーン「THXネット(THXNET)」へ記録し、後から改ざんや削除が行われていないか検証できる仕組みを採用しているとのこと。

背景には、デジタル資産やステーブルコイン、デジタル証券、トークン化預金などを起点に、金融分野のオンチェーン化が実証段階から社会実装段階へ移りつつあることがある。また、金融システムでAIエージェントの活用が広がる中、「誰が、いつ、どの権限で、何を実行したか」を第三者が確認できる形で記録する重要性も高まっている。

こうした背景を踏まえ、今回の実証では、AIエージェントの操作履歴を含む一連の取引プロセスをブロックチェーンへ記録するとのこと。同社によると、このような取り組みは国内初だ。

さらに実証では、サーバーから出力されるシステムログをラストエビデンスへ記録し、不正侵入後にログが改ざん・削除された場合でも変更を検知できるかを確認する。また、記録したログを監査証跡として信頼できる状態で保全できるかに加え、既存システムへ追加導入した際のシステム負荷や運用への影響についても評価するとのこと。

ラストエビデンスは、THXLABとECQが共同開発し、トレードワークスが金融システムへの実装・導入を担うブロックチェーン証跡基盤だ。既存の金融システムやセキュリティ対策を置き換えるのではなく、その上に証跡を記録する仕組みを追加する設計を採用しているとのこと。

トレードワークスは今回のPoCを通じて、ラストエビデンスの実用化や金融サービスへの適用可能性を評価する。将来的には、セキュリティトークン(ST)の二次流通市場における決済スキームなど、次世代金融インフラへの展開も検討しているとのこと。

参考:プレスリリース
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。