チェーンリンク、欧韓銀行連合とFX向けT+0決済基盤「プロジェクト・パンゲア」始動

チェーンリンクらが「Project Pangea」発表

ブロックチェーンインフラ提供のチェーンリンク(Chainlink)が、複数の韓国金融機関や欧州銀行系コンソーシアムとともに国際外国為替(FX)市場向けのT+0決済フレームワーク開発を目的とした共同プロジェクト「プロジェクト・パンゲア(Project Pangea)」を6月23日に発表した。

同プロジェクトには、韓国の金融・デジタル資産関連団体であるユニファイド・コリア・アライアンス(Unified Korea Alliance:UniKA)と、欧州大手銀行37行が支援するユーロステーブルコイン・コンソーシアムのキバリス(Qivalis)が参加している。発表によると、関係するグループは合計で10兆ドル(約1,616兆円)超の運用資産を代表しているという。

プロジェクト・パンゲアでは、規制対象のユーロ建ておよび韓国ウォン建てステーブルコインを活用し、現在の国際FX市場で一般的なT+2(約2営業日後)決済からT+0(即時)決済への移行可能性を検証するとのこと。

同プロジェクトは、為替取引の両当事者が同時に決済を完了させる「アトミック決済(Atomic Settlement)」や「ペイメント・バーサス・ペイメント(Payment versus Payment:PvP)」を活用し、決済リスクおよびカウンターパーティリスクの低減を目指す。

また発表によると、同プロジェクトは概念実証(PoC)にとどまらず、法規制への準拠を前提とした実運用インフラの構築を目的としているという。なお、暗号資産(仮想通貨)メディア「コインデスク(CoinDesk)」の取材に対しチェーンリンク幹部は、今後12カ月以内の実取引開始を目標に掲げていると説明している。

現在の国際FX市場では、異なる通貨や金融機関間での決済に複数の仲介機関が関与するため、取引成立から決済完了までに時間を要する場合がある。また、その間には取引相手が決済不能となるリスクや、資金移動に伴う決済リスクが存在する。

同プロジェクトでは、銀行が従来通り国際金融メッセージングネットワーク「スイフト(SWIFT)」および国際標準規格「ISO 20022」を利用できる仕組みを目指すという。

そのうえで、チェーンリンクのインフラを通じて、中立的な分散型台帳上でアトミック決済を実行できる仕組みを検討するとのこと。

発表によると、フェアスクエアラボが開発する「パンゲアL1ネットワーク(Pangea L1 Network)」は、FX決済向けのスマートコントラクトが稼働する専用ネットワークとして利用される予定だという。また同ネットワークは既存の銀行システムを置き換えるのではなく、従来の金融インフラとブロックチェーンベースの決済基盤を接続する役割を担うという。

なお同プロジェクトは、欧州と韓国間の年間1,500億ドル(約24.2兆円)規模の貿易回廊を対象として開始される予定だ。チェーンリンクは、この取り組みを通じて国際決済や外国為替市場におけるステーブルコイン活用に向けた枠組みの構築を進めるとしている。

参考:プレスリリース
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。