JPYSCは初日から100億円分発行へ
SBIグループおよびスターテイルグループ(Startale Group)が共同開発する、信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」の発行および提供の開始が6月24日に発表された。信託銀行が裏付け資産を管理する信託型として国内初の発行となる。発行者はSBI新生信託銀行だ。
JPYSCは、先行して発行されている資金移動業型の「JPYC」とは異なり、滞留・送金にかかる100万円制限を受けないのが特徴だ。ステーブルコインは既存の決済手段に比べ送金コストが大幅に安価であり、JPYSCは大口での送金にも対応できることから、法人を含めた様々なユースケースがあるとされている。
「あたらしい経済」編集部がスターテイルグループへ取材したところ、JPYSCの発行先ブロックチェーンはイーサリアム(Ethereum)であることと、初日より100億JPYSCを発行予定であることが確認できた。記事公開時点では2億JPYSCが発行済みであることがイーサスキャンで確認可能だ。
発表によるとJPYSCの提供は、先行して国内暗号資産(仮想通貨)取引所SBI VCトレードの口座内限定で開始されるという。先行提供期間中については、SBI VCトレード口座から外部ウォレットへの出庫は不可とのこと。ただし、パブリックチェーン上での流通に向けた技術的・実務的な準備はすでに完了しているとのことで、関係法令・税務実務上の整理がつき次第、できるだけ速やかに、SBI VCトレードからの出庫を可能にし、国内外でパブリックチェーン上で流通可能な体制への移行を目指しているという。
またSBI VCトレードでは、JPYSCのレンディングサービスも近日中に開始予定とのことだ。
さらにJPYSCは、商業・小売決済領域といった小口への活用可能性も視野に入れているとのこと。国内の決済ネットワーク、カード発行会社、加盟店精算インフラ等との連携を通じたリテール向け国内決済および加盟店清算も行っていくという。当初、同ステーブルコインは実務決済、資金管理、クロスボーダー決済(国外送金)などの用途期待や、機関投資家レベルの大規模取引やトークン化資産の決済にも対応可能な設計がされているといった発表から、大口を主とした活用が予想されていた。
なお発表では、パブリック移行後において想定されるJPYSCの主なユースケースとして、「オンチェーン外国為替市場」や「機関投資家向けレンディングおよびオンチェーン・キャリートレード」、「RWA・トークン化資産の決済」、「OTC取引および機関投資家向け流動性」などが挙げられている。
日本におけるステーブルコインは「電子決済手段」として位置付けられ、資金移動業者にて発行される「1号電子決済手段」と、信託会社・信託銀行により発行される「3号電子決済手段(特定信託受益権)」に分類されている。3号電子決済手段は送金・滞留において100万円の制限が設けられていない。なお昨年10月に国内初のステーブルコインとして発行開始となったJPYCは、資金移動業型の1号電子決済手段にあたる。
なおSBIとスターテイルグループは、金融資産のオンチェーンでの取引に特化したレイヤー1ブロックチェーン「ストリウムネットワーク(Strium Network)」の開発も共同で進めている。
またスターテイルグループは、ソニーグループと設立した合弁会社ソニーブロックソリューションラボ(Sony Block Solutions Labs:SBL)を通じて、イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーン「ソニューム(Soneium)」を提供している。
参考:イーサスキャン
画像:PIXTA