FRB理事は「米金融政策の影響拡大」、英中銀委員は「トークン化預金が主流に」、デジタルマネー巡り見解分かれる=報道

ステーブルコイン巡り米英の中銀関係者の見解分かれる

米連邦準備制度理事会(FRB)のクリストファー・ウォラー(Christopher Waller)理事が、ステーブルコインの普及によって米国の金融政策の影響力が拡大する可能性があるとの見解を示した。5月31日に「ブルームバーグ(Bloomberg)」が報じた。

ウォラー氏は、クロアチアで開催された「第32回ドゥブロブニク経済会議(Dubrovnik Economic Conference)」で、「ステーブルコインを採用する国は固定相場制に近い仕組みになる」との見解を示した。

また同氏は、「そうした国々は米国の金融コストや金融政策の影響を取り込むことになる。つまり、ステーブルコインをより多く利用する国では、米国の金融政策の影響範囲が広がる」と説明している。

ウォラー氏は2025年2月の講演でも、ステーブルコインがドルの国際的な役割を維持・拡大する可能性があるとして、明確な規制枠組みの必要性に言及しつつ、同分野に前向きな見方を示している。

一方、イングランド銀行(Bank of England)の金融政策委員会委員ミーガン・グリーン(Megan Greene)氏は、将来的にはトークン化預金がステーブルコインに取って代わる可能性があるとの見方を示した。同氏の発言を6月1日(日本時間)に「ロイター(Reuters)」が報じている。

グリーン氏は、ウォラー氏と同じドゥブロブニク経済会議のパネルディスカッションに参加し、ステーブルコインについて自身の見解を述べた。

同氏は「トークン化預金がステーブルコインに取って代わる可能性が高いと思う。5年後には、なぜステーブルコインについて話していたのか不思議に思うかもしれない」との考えを示している。

トークン化預金は、商業銀行の預金をDLT(分散型台帳)や類似技術を用いた共通のプログラム可能な基盤上で利用できるようにしたデジタル形式の預金を指す。

同氏は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、ステーブルコイン、トークン化預金のいずれにも市場は存在するとしながらも、最終的にはトークン化預金が優位になる可能性が高いと主張した。

また同氏は、商業銀行が預金流出への危機感を強めれば、トークン化預金の開発を本格化させる可能性があると説明している。

今回の両氏の発言は、デジタルマネーの将来像を巡る見方の違いを示すものとなった。

ウォラー氏は、ステーブルコインを米ドル建て金融インフラの拡大手段として評価している。一方、グリーン氏は、最終的には銀行預金をトークン化した仕組みが主流になる可能性があるとみている。

ステーブルコインの普及が進むなか、民間発行のステーブルコイン、銀行が発行するトークン化預金、各国中銀が検討するCBDCのどれが将来のデジタルマネーの中心になるのかを巡り、各国の政策担当者の間でも見解が分かれている。

参考:ブルームバーグロイター
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。