デリバティブ取引プロトコル「バリエーショナル」、シリーズAラウンドで50Mドル調達

RWAデリバティブ市場を90日で100超展開へ

デリバティブ取引プロトコル「バリエーショナル(Variational)」が、シリーズAラウンドで5,000万ドル(約79.5億円)を調達した。5月20日に同プロトコル公式Xで発表された。

同プロトコルチームの発表によると、同ラウンドはドラゴンフライ(Dragonfly)が主導し、ベイン・キャピタル・クリプト(Bain Capital Crypto)、コインベース・ベンチャーズ(Coinbase Ventures)などが参加したとのこと。

バリエーショナルは、株式指数や個別株、コモディティ、外国為替(FX)などに連動するRWAデリバティブ市場を、暗号資産(仮想通貨)と同じ単一口座から取引できる環境の構築を目指している。

同プロトコルチームは、5月6日に公式Xアカウントで公開した記事で、90日以内に100以上のRWA市場をオンチェーン展開する計画を明らかにしていた。対象には、株式指数、コモディティ、外国為替(FX)、個別株などが含まれる。

同プロトコルは3段階でRWA市場を拡張する方針だ。フェーズ1では、金、銀、銅、WTI原油などを対象に、集約された暗号資産ネイティブの流動性を活用し、クロスマージンエンジンとオンチェーン決済を検証する。フェーズ2では、TradFi由来の流動性を直接ルーティングし、100以上の新市場をオンチェーン展開する計画となっている。さらにフェーズ3では、24時間365日取引可能な株式、指数、商品、通貨市場へ拡張するとのこと。

バリエーショナルは、単一のクロスマージン口座から、暗号資産、株式、コモディティ、指数、通貨に連動するデリバティブ市場を取引できる環境の構築を目指している。

Variationalとは

バリエーショナルは、2021年にルーカス・シュアマン(Lucas Schuermann)氏らが立ち上げたプロジェクトで、現在はパーペチュアルおよび汎用デリバティブのP2P取引プロトコルを展開している。

同プロトコルは、既存金融市場の流動性をオンチェーン市場へ接続する「ブローカレッジ型」モデルを採用している。

その背景として同プロトコルチームは、ハイパーリキッド(Hyperliquid)などのオンチェーンの中央指値注文板(CLOB)型市場について課題があると指摘している。

それはオンチェーンでは新しい市場ごとに流動性をゼロから構築する必要がある点だ。特にRWA市場では、すでに既存市場に巨大な流動性があるにも関わらず、市場ごとに流動性供給者を集める必要があり、十分な流動性がなければスプレッドやスリッページが大きくなりやすいと説明している。

これに対しバリエーショナルは、既存市場のディーラーや流動性供給元へ接続することで、オンチェーン上の取引流動性を既存市場から集約する設計を採用している。同プロトコルチームは、証拠金管理や決済をオンチェーンで行いながら、既存市場の流動性を活用する構想を掲げている。

また同プロトコルチームは、このモデルにより、市場ごとに流動性を構築するコストを減らし、RWA市場の追加速度を高められるとしている。さらに既存市場へ接続することで、オンチェーン市場単体より深い流動性や低スリッページを提供できると説明している。

シュアマン共同創設者兼CEOは、米メディア「フォーチュン(Fortune)」の取材に対し、オーダーブックにはコールドスタート問題があり、流動性を移植しているのではなく再構築しているとの見方を示した。

またシュアマン氏は、バリエーショナルについて、ハイパーリキッドなどの取引所を直接的な競合とは見ていないとも説明した。同氏は、同プロトコルのモデルについて、「取引所」よりも「ブローカレッジ」に近いと位置付けている。

バリエーショナルは現在、パーペチュアル取引アプリ「オムニ(Omni)」を提供している。フォーチュンによると、オムニは現在招待制で提供されており、今後は一部法域で一般公開する計画だという。

 参考:記事1記事2フォーチュン
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。