DTCC、チェーンリンク活用で24時間365日の担保管理基盤構築へ

DTCCのコラテラル・アップチェーンにチェーンリンク統合

米証券市場の決済・保管インフラを担うDTCCが、同社の担保管理基盤「コラテラル・アップチェーン(Collateral AppChain)」にチェーンリンク(Chainlink)の「チェーンリンク・ランタイム・エンバイロンメント(Chainlink Runtime Environment:CRE)」およびデータ標準を統合する予定だと5月12日に発表した。

DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)は、米国の株式や債券などの証券取引において、清算・決済・保管といったポストトレード業務を担う金融市場インフラだ。子会社のDTC(Depository Trust Company)は、米国株式やETF、米国債など114兆ドル(約1.8京円)規模の資産を保管している。

今回の発表は、DTCCが近年進める米国金融市場のオンチェーン化戦略の一環となる。DTCCは、トークン化証券向けインフラや担保管理基盤の整備を進めており、今月にはトークン化サービスについて、今年7月に限定的な本番取引を開始する予定だと発表したばかりだ。

DTCCのコラテラル・アップチェーンは、金融機関同士の担保管理を24時間365日、ほぼリアルタイムで処理することを目的とした共有インフラ基盤だ。金融市場参加者が共通利用できる相互運用基盤として設計されている。金融機関同士は、取引リスクに備えて国債や現金などを担保として差し入れている。一方、現在の担保管理は金融機関や市場、営業時間ごとに分断されており、資産移動や担保評価に時間を要するケースも多い。同基盤は、トークン化と分散型台帳技術(DLT)を活用することで、こうした担保移動の効率化や資本効率向上を目指している。

DTCCによると、チェーンリンクのCRE統合により、資産価格、評価、担保移動データの接続や自動化が可能になるという。CREは、オンチェーン・オフチェーン双方のデータ取得や自動処理を統合的に実行するための基盤だ。DTCCは、個別接続を繰り返す従来型ではなく、再利用可能な共通基盤として活用すると説明している。これにより、担保適格性判定、評価、マージン管理、担保最適化、決済などの処理を自動化が実現するとのことだ。

今回の取り組みでは、チェーンリンクのデータ連携・自動化基盤を活用することで、証券市場におけるポストトレード処理をオンチェーン基盤上でリアルタイム化・自動化することを目指しているとみられる。なお、DTCCはコラテラル・アップチェーンについて2026年第4四半期の本番稼働を予定している。

参考:プレスリリースドキュメント
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。