米労働省の401(k)規則案、審査通過。暗号資産やオルタナ投資の解禁へ前進

暗号資産含むオルタナ投資の制度見直しへ

米行政管理予算局(OMB)傘下の情報規制局(OIRA)は、米労働省(DOL)による企業型確定拠出年金「401(k)」制度に関する規則案の審査を完了した。政府の公式データベース「reginfo.gov」への掲載により明らかになった。

規則案の正式タイトルは「Fiduciary Duties in Selecting Designated Investment Alternatives(指定投資商品選定における受託者義務)」(RIN: 1210-AC38)。審査は2026年1月13日に受理され、3月24日に「変更を伴う一致(Consistent with Change)」として結論が示された。また本規則案は「経済的に重要(Economically Significant)」にも分類されている。

今後、労働省は規則案を官報に相当する連邦官報(Federal Register)で公表し、パブリックコメント(意見募集)を実施する見通しだ。コメント期間は一般的に60日前後となることが多いが、正式な期間は公表時に確定する。その後、寄せられた意見を踏まえた修正を経て、最終規則の策定に進む。

今回の動きは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が2025年8月7日に署名した大統領令を受けた制度見直しの一環とみられる。同令は連邦機関に対し、暗号資産(仮想通貨)を含むオルタナティブ資産を組み込んだ資産配分ファンドについて、401(k)などの確定拠出型年金プランにおける取り扱いを再評価するよう指示した。あわせて、米財務省および証券取引委員会(SEC)との省庁間連携を通じた規制・ガイダンスの見直しも求めている。

ホワイトハウスは当時、過剰な規制や訴訟リスクが401(k)プランにおける投資選択肢を制限し、加入者が十分なリターン機会を享受できていないとの認識を示していた。一方で、暗号資産やプライベートエクイティ、不動産といったオルタナティブ投資は価格変動や流動性、手数料の透明性などの面でリスクが高く、退職資産への組み入れには慎重な見方も根強い。

実際、ジョー・バイデン(Joe Biden)政権下では、労働省が暗号資産を401(k)の投資選択肢に含めることに対して警戒的なガイダンスを公表し、受託者に対して「特別な注意(extreme care)」を求めていた経緯がある。このガイダンスはその後、2025年に撤回されている。

今回のOIRA審査通過は、制度変更に向けた重要な手続き上の前進と位置づけられる。ただし、現時点では規則案の詳細は公表されておらず、暗号資産を含むオルタナティブ資産の扱いがどこまで具体的に認められるかは不透明だ。

仮に制度見直しが実現すれば、米国の退職資産市場に一定の影響を与える可能性がある。米国の退職資産は数十兆ドル規模にのぼり、その中でも401(k)市場は約10兆ドル規模とされる。制度設計の内容次第では、オルタナティブ資産への資金流入経路として注目が高まる可能性がある。

参考:通知
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者