リップル社、シンガポール中銀構想「BLOOM」に参加。貿易金融でXRPL活用

XRPLとRLUSDで貿易金融実証

シンガポール金融管理局(MAS)が2025年10月に立ち上げた決済インフラ構想「BLOOM(Borderless, Liquid, Open, Online, Multi-currency)」に対し、リップル社(Ripple)は3月25日、新たに参加を表明した。

BLOOMは、トークン化された銀行負債や規制準拠のステーブルコインを活用し、ホールセール(機関顧客対象の大口業務)領域における国内およびクロスボーダー決済の高度化を目的とする取り組みだ。

BLOOMは、MASがデジタルシンガポールドルのユースケース検証を進めてきた「プロジェクト・オーキッド(Project Orchid)」の成果を基盤として構築されている。これまでの実証から得られた知見はレポートとして整理されており、一部はすでに商用サービスにも応用されている。

対応通貨はG10通貨およびアジア通貨を広く対象としており、国内決済にとどまらずクロスボーダー決済も視野に入れている。また、ユースケースとしては企業のトレジャリー管理や貿易金融、さらにはエージェント型決済など、ホールセール領域での活用が想定されている。

BLOOMでは、複数の決済資産や清算ネットワークを統合し、異なる形態の資産であってもシームレスに利用・送金・換金できる環境の整備が重要なテーマとなっている。加えて、コンプライアンスチェックの一貫性を高める仕組みの導入や自動化を通じて、実装の効率化とコスト削減を図り、クロスボーダーのホールセール決済の高度化を目指すという。

さらに、AIエージェントを活用した決済についても検証対象とされており、あらかじめ設定された条件の範囲内で取引を自動執行することで、より効率的な資金移動の実現可能性が探られるとのこと。

初期参加メンバーには、DBS、JPモルガン(J.P. Morgan)、OCBC、UOB、スタンダードチャータード(Standard Chartered)といった主要金融機関に加え、サークル(Circle)やコインベース(Coinbase)、ストライプ(Stripe)、テマセク(Temasek)などが含まれており、金融機関からデジタル資産企業、決済ネットワーク運営者まで幅広いプレイヤーが参画している。

MASは今後、金融機関や業界パートナー、規制当局との連携拡大を図るとともに、銀行や決済・清算ネットワーク事業者によるトライアルへの参加を広く募っていく方針だ。

リップル社は今回、サプライチェーン・ファイナンス分野のテクノロジー企業アンロック(Unloq)と連携し、クロスボーダー貿易決済に関するユースケースの実証に取り組む。

同プロジェクトでは、アンロックの貿易金融インフラ「SC+」を活用し、貿易上の義務や決済条件、資金調達のワークフローを単一の実行レイヤーに統合する。この仕組みは、XRP Ledger(XRPL)とステーブルコイン「Ripple USD(RLUSD)」を組み合わせて運用される。

具体的には、船荷の確認など事前に設定された条件が満たされた時点でRLUSDによる支払いが自動的に実行される設計となっており、これによりリスクの透明性向上や中小企業の資金調達アクセス改善が期待されるとしている。

リップル社のアジア太平洋地域マネージングディレクター、フィオナ・マレイ(Fiona Murray)氏は、「シンガポールはデジタル資産分野において世界をリードする規制の明確性を提供し続けています。BLOOMへの参加は、コンプライアンスに準拠した現実的なブロックチェーン活用という当社の方針と一致しています」と述べた。

また、アンロックのレティーシャ・チャウ(Letitia Chau)社長兼最高リスク責任者は、「BLOOMは、規制環境下で貿易金融インフラを近代化する重要な一歩です」とコメントしている。

BLOOMは、シンガポールの金融ハブとしての競争力強化を目的とした長期的な取り組みと位置づけられており、今後の参加機関の拡大や具体的なトライアル成果の進展が注目される。

参考:リップル社発表MAS
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者