ヴィタリック、機関向けワンクリック分散型ステーキング構想を公開

イーサリアム財団がDVT-liteで72,000ETHをステーキング

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、機関向けに「ワンクリック」に近い形で参加できる分散型ステーキング環境の構想を自身のXで3月10日に発表した。

あわせてイーサリアム財団は、「DVT-lite」とブテリン氏が呼ぶ簡素化アプローチを用い、72,000ETH規模のステーキングを進めていることに言及した。この実験は、複数のマシンでバリデータを運用する際のセットアップを大幅に簡素化することを目指している。

DVT-liteは、分散型バリデータ技術(Distributed Validator Technology:DVT)の簡略化版であり、特に機関投資家やセミプロフェッショナル向けのイーサリアムステーキング環境で容易に導入できるよう調整されたものだ。通常のソロステーキングでは全てが1台のコンピューターで実行されるため、クラッシュやハッキング、インターネット接続の切断などのトラブルが発生した際にスラッシング(罰則)やペナルティが発生する可能性がある。一方、完全なDVTでは秘密鍵を複数のコンピューターに分散し常時通信を行うため非常に安全だが、セットアップが複雑になるという課題があった。

DVT-liteは複数のコンピューターで同じ検証キーを使用するため、1台のコンピューターが故障しても別のコンピューターがすぐに引き継ぎ、ダウンタイムをほぼ発生させずペナルティのリスクも非常に低く抑えられるという。ブテリン氏は自身のXへの投稿で、「このプロジェクトで私が望んでいるのは、機関投資家にとって分散型ステーキングを最大限簡単に、ワンクリックで行えるようにすることだ」と語った。

同氏は、オペレーターがノードを実行するコンピューターを選択しソフトウェアを起動し各マシンに同じキーを入力すると、システムが自動的にノードを接続しステーキングを開始するという、ほぼワンクリックのセットアップに近づけることを目標としている。「インフラの運営が恐ろしく複雑なもので、参加者全員が専門家でなければならないという考え方はひどく分散化に反するものであり、私たちはこれを直接攻撃しなければならない」と述べた。

ブテリン氏は、ステーキングプロセスを自動化するDockerコンテナやNixイメージなどのツールが存在すべきだと付け加えた。具体的には、ノードごとにワンクリックまたはコマンドラインを実行し各ノードに同じキーを入力すると、それらが自動的に互いを見つけネットワーキングがセットアップされ、分散鍵生成(DKG)が実行されステーキングが開始されるべきだという。

イーサリアム財団は2月下旬にこの技術を使ったステーキングプログラムを開始しており、2月24日に2,016ETHの最初の入金を行った。現在、資産はバリデーターのエントリーキューに置かれており、3月19日のステーキング開始を待っている状態だ。このステーキングは、オープンソースソフトウェアのDirkとVouchを使用して実施されており、Dirkは分散型署名者として機能し複数の管轄区域の個人による運用を可能にし単一障害点がバリデーションを中断できないようにしているとのこと。

ブテリン氏は、DVT-liteを近々自身でも使用する予定であり、ETHを保有するより多くの機関がこの方法でステーキングできるようになることを期待していると述べた。「私たちはステーキングノードに対する権限を高度に分散させたいと考えており、そのための第一歩はそれを簡単にすることだ」と語っている。なお同氏は1月にネイティブDVTのネットワーク統合を提案しており、これによりステーカーは単一のノードに完全に依存することなくステーキングできるようになるという。

弱気市場での価格変動にもかかわらず、イーサのステーキングに対する需要は依然として大きい。ValidatorQueueによると、現在バリデーターのステーキング参加キューには320万ETHが55日間待機中であり、出金キューには29,000ETHが12時間待機中であるという。また現在、3,750万ETHがステークされており、これは総供給量の31%を占めている。

参考:ファイアフライ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。