ヴィタリック、アカウント抽象化の実装に言及。将来の「Hegota」アップグレードで統合の可能性

イーサリアム次世代アカウント設計を説明

イーサリアム(Ethereum)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、アカウント抽象化(Account Abstraction:AA)の包括提案「EIP-8141」についての実装に向けた進展状況を3月1日に自身のXアカウントで説明した。

EIP-8141は「フレーム・トランザクション(Frame Transaction)」と呼ばれる新たなトランザクション形式を導入する提案だ。フレーム・トランザクションとは、1つの取引を複数の「処理単位(フレーム)」に分解し、検証・実行・ガス支払いなどを段階的に定義できる仕組みを指す。従来のように単一署名で即時実行される形式とは異なり、処理の流れを柔軟に設計できる点が特徴となる。

同提案は、従来の単一署名・単一実行型の構造から、検証・実行・ガス支払いなどを分離可能な柔軟な設計へ移行することを目的としている。

同氏は、この設計により署名方式を特定の暗号方式に限定せず、任意の暗号アルゴリズムを利用できるようになると説明した。これにより将来的な量子耐性署名への移行や、マルチシグ、鍵変更可能アカウントなど高度なアカウント設計への対応が可能になるとしている。

またEIP-8141では、トランザクション内に「検証フレーム」を設けることで、署名や証明の正当性を実行処理とは別に確認できる設計となっている。検証フレームは取引の最初に配置され、そこで送信者やガス支払いの承認が行われる仕組みだ。これにより、複数の署名や高度な証明をまとめて検証しやすくなり、将来的にはそれらをブロック外で一括証明する仕組み(再帰的集約)にも対応可能とされる。

同氏は、量子コンピュータの発展により現在広く利用されているECDSA署名やBLS署名などが将来的に脆弱となる可能性に言及し、アカウント抽象化が量子耐性移行の前提基盤になるとの見解を示した。

さらに、トランザクションの並列処理を可能にする多次元ノンス提案(RIP-7712)や、決定的デプロイを標準化する提案(EIP-7997)なども関連議論として進められているという。

これらの技術を統合した形で、EIP-8141は約1年以内に実施されるハードフォーク「ヘゴタ(Hegota)」での実装が可能だとブテリン氏は示している。

なお、ヘゴタは現在検討が進む次期アップデート「グラムステルダム(Glamsterdam)」に続く将来のプロトコルアップグレードの名称だ。ヘゴタでは、トランザクションの検閲耐性を強化する提案「フォーク・チョイス・エンフォースド・インクルージョン・リスト(Fork Choice–enforced Inclusion Lists:FOCIL/EIP-7805)」の採用も議論されている。

今回のEIP-8141の議論は、今後こうした検閲耐性強化の議論と並行して進められる可能性がある。

参考:EIP
画像:大津賀(幻冬舎 あたらしい経済)

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。