欧州ビットパンダ、株式・ETF取引を統合へ。暗号資産取引所のマルチアセット化進む

ビットパンダが暗号資産と伝統的金融商品を単一アプリで提供

欧州の暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォーム「ビットパンダ(Bitpanda)」が、株式および上場投資信託(ETF)の取引機能を同社の規制対象アプリに統合する。米暗号資産メディア「ザ・ブロック(The Block)」が1月21日に報じた。

ビットパンダの株式およびETF商品は「ビットパンダ・ストックス(Bitpanda Stocks)」として提供され、実際の株式やETFを裏付け資産とするデリバティブ契約の形態を取る。利用者が裏付け資産を直接保有するのではなく、ビットパンダとの契約に基づく価格エクスポージャーを得る仕組みだ。

同社の株式およびETFの取引提供は1月29日に開始する予定だ。ビットパンダの公式サイト上でも、開始までのカウントダウン表示が確認できるほか、「ALL YOUR INVESTMENTS. ALL ON BITPANDA.(投資のすべてをビットパンダで)」との文言とともに、暗号資産、株式、ETF、貴金属、同社が扱うコモディティなどを並列に扱う構成が示されている。

これにより同社は、暗号資産と伝統的金融商品を単一のアプリで扱うマルチアセット投資プラットフォームとなる。株式およびETFはいずれも、1株や1口単位に限らず端数での投資に対応するとされている。

ザ・ブロックによると、株式およびETF取引の手数料は1取引あたり一律1ユーロ(約160円)とされている。一方、公式ページの注意書きでは、スプレッドやFX、プロダクトコスト、税などの追加コストが発生し得る点にも留意が必要だ。また法定通貨の入出金は無料とされる。さらに報道では、カストディ手数料やペイメント・フォー・オーダー・フロー(PFOF)はなく、入出金手数料も引き続き無料とされる。また指値注文などの注文方法は資産クラスをまたいで利用可能だという。

今回のビットパンダの株式・ETF統合は、暗号資産取引所が暗号資産専業から、より幅広い金融商品を扱う「フルスタック型投資アプリ」へと事業領域を拡大する動きの一環と位置付けられる。

暗号資産取引所が株式やETFを扱う動きは、最近トークン化という手法を通じても進められている。海外大手取引所「クラーケン(Kraken)」は、米国株式やETFをトークン化したプロダクト「xストックス(xStocks)」を展開している(ただし提供地域に制限がある)。米大手暗号資産取引所「コインベース(Coinbase)」も、トークン化株式の取引提供を検討しており、米証券取引委員会(SEC)からの承認取得を目指していると「ロイター(Reuters)」が報じている。

トークン化株式は、実際の株式を裏付けとしたトークンを発行し、(サービス設計によっては)取引所上の取引時間が24/5などに限定される一方、自己保管ウォレットへ出庫後はオンチェーンで24/7取引できる点などが特徴とされる。

これに対しビットパンダは、株式およびETFをトークン化するのではなく、既存の証券制度の枠組みの中で株式・ETFを裏付け資産とするデリバティブ契約として提供する方式を選択した。この方式ではオンチェーン上での直接的な取引を前提とせず、また端数部分は議決権を伴わないのが一般的とされる。一方、EU(欧州連合)および各国の証券規制の枠組みの中で提供される点が特徴となる。

暗号資産取引所が株式・ETF領域に進出する動きの中でも、トークン化によるオンチェーン提供を重視するアプローチと、既存の金融インフラや規制枠組みを活用して統合を進めるアプローチとで戦略の違いがみられる。

参考:ザ・ブロックビット・パンダ
画像:iStocks/ustinroque

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あたらしい経済 編集部

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