JPYC、韓国IT大手ITCEN GLOBALとステーブルコイン分野で共同研究開始

JPYCとITCENが共同研究開始

日本円ステーブルコイン「JPYC」を取り扱うJPYC社が、韓国の大手IT企業であるアイティーセングローバル(ITCENGLOBAL)とステーブルコイン分野における共同研究を開始すると12月22日に発表した。

この取り組みでは、「将来的な日韓ステーブルコインの発展に向けた可能性を探る機会とすることを目指す」とのことだ。なお両社は昨年10月、同共同研究の開始におけるMoUを締結していた。

アイティーセンは、2005年創業、年間売上約5兆ウォンを誇る韓国KOSDAQ上場の大手ITグループだ。SI(System Integration)ビジネスを中心に、ITソリューション、コンサル、投資事業を展開している。また同社子会社コルダ(Korda)では、金のRWA(現実資産)である「K-Gold」をはじめとするコモディティをブロックチェーン上で取り扱う事業を展開しており、RWA分野にも積極的に取り組んでいるという。

なおアイティーセンは、2023年12月からはバルンソン、ハナ銀行、ハナ証券など11社と共に構成される釜山BDXコンソーシアム企業の代表を務めている。釜山BDXコンソーシアムは2月に釜山市と「釜山デジタル資産取引所設立および運営事業」業務協約を締結しており、釜山デジタル資産取引所は2024年5月に発足している。さらにITCENは、韓国国内の他にアジア全域へとRWA事業を拡大している。

本共同研究では、日韓の専門家および実務者が一堂に会し、ステーブルコインを巡る制度的な考え方や実務上の論点について建設的な議論を行うことが目的だという。あわせて、金などのデジタル資産に該当するRWAの文脈においても研究を行い、アジアにおけるステーブルコインおよびデジタル資産の持続的な発展と、国境を越えた連携の可能性を探る機会とすることを目指すとのことだ。

なおJPYCのの発行・償還サービス「JPYC EX(ジェーピーワイシーエクス)」における累計口座開設数が10,000件、累計発行額が5億円を突破したことが12月16日に発表されている。

JPYCは10月27日に発行開始された、日本円と1:1で交換可能な日本で初の日本円建ステーブルコイン。イーサリアム(Ethereum)、アバランチ(Avalanche)、ポリゴン(Polygon)上で発行・流通している。またJPYC EXは、JPYCの発行・償還手続を行うための公式プラットフォーム。JPYC発行同日にリリースされた。

JPYC社はJPYC取り扱いにあたり、8月18日付で資金決済法に基づく「資金移動業者(第二種)」の登録を得ている。 2023年6月の資金決済法の改正により、日本におけるステーブルコインは「電子決済手段」として位置付けられ、発行・償還等の枠組みが整備された。 

画像:iStocks/wvihrev

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。