合成資産ではなく「実株式」をトークン化
実物資産(RWA)のトークン化プラットフォームを提供するセキュリタイズ(Securitize)が、実際の上場株式をネイティブにトークン化し、オンチェーンで取引できるサービス「ストックス・オン・セキュリタイズ(Stocks on Securitize)」を12月17日に発表した。同サービスは2026年第1四半期に開始するという。
同社によると、今回提供されるトークン化株式は、価格に連動する合成資産や、カストディアンに対する請求権(IOU)ではない。発行体の株式を規制に準拠してオンチェーンで発行・管理し、投資家が株主名簿に記載され、議決権や配当などの株主権利を持つ設計とのこと。
セキュリタイズは、近年提供されてきた「トークン化株式」の多くについて、実際の所有権ではなく価格へのエクスポージャーを提供する仕組みだったと説明している。派生商品や特別目的会社(SPC)、オフショア構造を用いたものが多く、株主名簿への記載や議決権を伴わないケースもあったとしている。
今回の仕組みでは、セキュリタイズが米証券取引委員会(SEC)登録の名義書換代理人として機能し、ブロックチェーンを株式の所有権を示す正式な記録として利用する。投資家は発行企業の株主名簿に直接記載され、配当や議決権を含む株主権利を保有するという。
セキュリタイズは2024年12月、エクソダス・ムーブメント(Exodus Movement, Inc./NYSE:EXOD)が株式をネイティブにオンチェーン発行した事例を通じて、このアーキテクチャを実証したとしている。
取引は、ウォレット接続後に本人確認(Securitize ID)を一度行い、ステーブルコインで購入する形となる。取引は即時にオンチェーンで清算され、清算遅延や照合リスクは生じないとしている。既存株主は、直接登録制度(DRS)を通じて、保有株式をオンチェーン形式へ転換することも可能だという。
取引時間は24時間365日に対応する。ただし価格形成は、米国株式市場の取引時間帯によって異なる。市場が開いている時間帯は、規制NMS(National Market System)に基づき、全米最良気配(NBBO)での執行が行われる。一方、市場終了後は、スマートコントラクトによる自動マーケットメイカー(AMM)型の価格メカニズムが用いられるとしている。
セキュリタイズは、実株式がオンチェーンで存在することで、将来的にスマートコントラクトや分散型金融(DeFi)との連携が可能になると説明している。同社は今後も、規制当局や開発者と連携しながら、規制に準拠した形でオンチェーン証券市場の拡大を目指すとしている。
なお今月、セキュリタイズのRIA(登録投資顧問)向けプラットフォーム「セキュリタイズ・フォー・アドバイザーズ(Securitize For Advisors:SFA)」をアンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)が取得した。
Introducing: Stocks on Securitize
— Securitize (@Securitize) December 16, 2025
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参考:セキュリタイズ
画像:PIXTA