ブラジルのステーブルコイン企業クラウンがシリーズAで1,350万ドル調達、パラダイム主導で「BRLV」拡大へ

レアル建てステーブルコイン発行企業が1,350万ドルの資金調達

ブラジルのステーブルコイン企業クラウン(Crown)が、シリーズAラウンドで1,350万ドル(約21億円)を調達したと12月8日に発表した。

この資金調達を経てクラウンの企業評価額は、9,000万ドル(約141億円)となったという。なおこのラウンドはパラダイム(Paradigm)が主導。パラダイムにとってブラジル企業への出資は今回が初となる。

クラウンはブラジルレアル(BRL)に連動するステーブルコイン「BRLV」を発行している。同社によればBRLVは累計3億6,000万レアル(約6,800万ドル)を超える申込残高を獲得している。クラウンはBRLVが「新興国市場で最大のステーブルコインになった」としている。

またクラウンは、今後10年でBRLVの発行残高を1兆レアル(約1,900億ドル)規模に拡大する目標を掲げている。これはブラジルのM2マネーサプライの「高い一桁台」に相当する水準で、同社はBRLVが国内のデジタル資産移行を支える基盤となるとみている。

クラウンはBRLVについて、安全性とコンプライアンス、透明性を最大化する設計を採用していると説明している。銀行、フィンテック企業、エンタープライズなどの顧客に対し、制度的な信頼に耐えるステーブルコインを提供することが目的だという。今回の資金調達により、金融機関との連携強化、プロダクト開発、開発者がBRLV上で構築できる環境の拡充を進める方針だ。

今回のラウンドにはパラダイムの他、既存投資家であるフレームワーク・ベンチャーズ(Framework Ventures)、ヴァロー・キャピタル(Valor Capital)、ノルテ・ベンチャーズ(Norte Ventures)、コインベース・ベンチャーズ(Coinbase Ventures)、パクソス(Paxos)、ヌーバンク(Nubank)共同創業者エドワード・ワイブル(Edward Wible)氏らも参加した。またパラダイムのマネージングパートナーであるアラナ・パルメド(Alana Palmedo)氏がクラウンの取締役に就任したことも併せて発表された。

なお各国では、自国通貨と連動するステーブルコインの発行や活用が広がりつつある。韓国ではウォン連動型ステーブルコイン「KRWQ」がローンチ後2週間で累計取引高10億ウォンを記録したと発表されているほか、中国でも人民元連動型ステーブルコインの発行承認が検討されていると報じられている。EUでもMiCAに準拠したユーロ建てステーブルコイン「EUROD」が今年発行されるなど、法定通貨連動型ステーブルコインの取り組みは世界的に広がっている。

参考:クラウン
画像:iStocks/artacet・ChrisGorgio

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あたらしい経済 編集部

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