韓国大手企業がアップビットを子会社化へ
韓国大手インターネット企業ネイバー(Naver)傘下のネイバーフィナンシャル(Naver Finantial)が、暗号資産(仮想通貨)取引所アップビット(Upbit)を運営するドゥナム(Dunamu)との包括的株式交換を進めていると、韓国メディア「東亜経済」が9月25日に報じた。
報道によるとこの取引が成立すればドゥナムはネイバーフィナンシャルの100%子会社となり、ネイバーグループに編入される見通しだという。
今回の取引はネイバーフィナンシャルが発行する新株とドゥナム株式を交換する方式で行われる。両社は株式交換比率の算定など最終準備を進めているとされている。これにより「ネイバー」「ネイバーフィナンシャル」「ドゥナム」という3社の垂直系列が形成され、ネイバーは国内最大規模の決済サービスと暗号資産取引所を同時に抱えることになる。
報道ではこの系列化によってネイバーとネイバーフィナンシャルがショッピングから金融、暗号資産取引までを統合的に提供する「スーパーアプリ」として進化する可能性があるとも指摘されている。
ドゥナムは今月の開発者会議「UDC」で、ステーブルコイン事業を見据えた独自ブロックチェーン「ギワ(GIWA)チェーン」と「ギワウォレット」を公開した。KYCやAMLへの対応を強化した設計で、金融連携を意識したものだという。
一方、報道はネイバーのAI戦略にも言及している。従来は独自開発を重視していたが、最近は米大手との協業を模索しており、11月の開発者会議「DNA 25」で方向性が示される可能性があるとしている。
今回の包括的株式交換の動きの背景には韓国で進むウォン建てステーブルコインの制度化議論があるという。国会は9月24日にデジタル資産タスクフォースを発足させ、年内の法制化を目指すと発表している。報道ではネイバーの決済網とアップビットの暗号資産流通力を組み合わせることで、両社がウォン建てステーブルコイン市場を主導する可能性があると指摘されている。
ちなみに韓国では9月18日、デジタル資産カストディ事業を手がけるビデクス(BDACS)が、韓国ウォンに裏付けられたステーブルコイン「KRW1」の概念実証を完了し正式にローンチしたと発表している。
参考:東亜経済
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