ブラックロック、ETFのトークン化を検討か=報道

RWA連動ファンドを対象に

米資産運用大手ブラックロック(BlackRock)が、上場投資信託(ETF)のトークン化を検討しているようだ。事情に詳しい関係者の話としてブルームバーグが9月12日に報じた。

報道によると、ブラックロックは、規制上の考慮事項を前提とし、株式など実世界の資産(RWA)に連動するファンドを対象に、ブロックチェーン上で取引可能なトークンとして提供する方法を模索しているという。

ブラックロックは2024年にトークン化マネーマーケットファンド「BUIDL」をローンチし、現在の運用残高は20億ドルを超える。また、2024年には現物型ビットコインETFを米国で上場させた。今回のETFトークン化検討は、こうした成功事例に続く動きとみられる。

ETFのトークン化が実現すれば、ウォール街の取引時間に制約されず、米国商品を海外から容易にアクセスできるほか、暗号資産ネットワーク上で担保として活用される可能性もある。

トークン化ファンドのシェアクラスが「市場インフラ全体のブロックチェーン移行」に向けた初期段階だと暗号業界ではみなされている。即時決済や小口化、柔軟な活用などを可能にする手段として注目が高まっている。

ETFは現在ウォール街の清算機関を通じて決済される仕組みを持つのに対し、トークンはブロックチェーン上で即時・24時間取引可能だ。

ブラックロックはこれまでもJPモルガン(JPMorgan)のキネクシス(Kinexys)を用いたトークン化ファンドの実証実験を行うなど、デジタル資産分野で積極的に動いてきた。ブラックロックのCEOラリー・フィンク(Larry Fink)氏は「すべての金融資産はトークン化可能」と繰り返し発言しており、2025年の株主向け年次書簡でもその姿勢を示している。

RWAトラッカーのrwa.xyzによれば、現在のトークン化資産市場規模は280億ドル程度と、数兆ドル規模の米ETF市場と比べればまだまだ小さいが、ブラックロックの検討は、伝統的金融機関が市場インフラそのものをブロックチェーンで再構築できるかどうかを試す重要なステップとなり得る。

参考:ブルームバーグrwa.xyz
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者