CRO特化のトレジャリー企業設立も
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領のメディア企業、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(Trump Media & Technology Group:TMTG)が、暗号資産(仮想通貨)取引所クリプトドットコム(Crypto.com)との戦略的パートナーシップを8月26日に発表した。
この提携により、トランプ・メディアが運営するSNS「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」と動画配信サービス「Truth+」にCrypto.comのデジタルウォレット基盤を統合し、Cronos(CRO)トークンをユーティリティトークンとして導入する。
Crypto.comは、トゥルース・ソーシャルの報酬プログラムを支えるデジタルウォレットのインフラを提供する。さらに、Truth+のユーザーがCrypto.comのCRO残高でサブスクリプションやサービスを決済できる機能や、Crypto.comのアカウントを開設したユーザーへのTruth+サブスクリプションの無料または割引提供など、追加施策も計画されている。両社はTruth+プラットフォームとCrypto.comウォレットの共同マーケティングも展開する。
また、トランプ・メディアは約2%のCRO市場規模に相当する1億500万ドル(約155億円)分のCROを購入し、Crypto.comはトランプ・メディアの普通株5,000万ドル(約74億円)分を取得。CROはCrypto.comのカストディサービスで管理され、ステーキングによる収益化も予定されている。
同日、トランプ・メディアとCrypto.comは、特別目的買収会社(SPAC)のヨークビル・アクイジション・コーポレーション(Yorkville Acquisition Corp.:YORK)と事業統合し、新会社「トランプ・メディア・グループ CRO ストラテジー(Trump Media Group CRO Strategy, Inc.)」の設立を発表した。この新会社はCROの取得に特化したデジタル資産トレジャリー企業となる。
統合完了後、トランプ・メディア・グループ CRO ストラテジーはヨークビル、トランプ・メディア、Crypto.comの3社による共同出資で設立される。
資金構成はCRO10億ドル相当(約19%の市場シェア)、現金2億ドル、2億2,000万(約325億円)ドルの強制行使ワラント、さらにヨークビル関連会社YA II PNからの50億ドルの株式信用枠で構成され、CROトレジャリー企業として世界初かつ最大規模の公開企業となる見通しだ。
また、YA II PNはクラスA株のバックストップ契約を締結し、保有比率9.9%を上限に、統合完了前に償還されず残る株式を取得する計画だ。統合に合わせ、ヨークビルはナスダックでのティッカーを「MCGA」に変更し、統合完了後はそのティッカーが新会社に引き継がれる予定だ。
ヨークビル、トランプ・メディア、Crypto.comは、統合完了後1年間の付与された全てのワラントを含む創業時保有株式のロックアップを設定し、その後3年間にわたって段階的に解除していくとしている。
参考:発表1・発表2
画像:iStocks/ greenbutterfly