ギリシャ当局、Bybitハッキング事件の暗号資産押収に成功。チェイナリシスの分析ツールで

Bybitハッキング資金の一部を凍結

ギリシャのマネーロンダリング対策当局が、14.6億ドル(約2,200億円)相当が盗まれた暗号資産(仮想通貨)取引所のバイビット(Bybit)ハッキング事件の一部資金の追跡・凍結に成功した。米ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)が、7月9日報告している。

報告によれば、当局は2023年にブロックチェーン解析ツール「チェイナリシス・リアクター(Chainalysis Reactor)」に戦略的投資を行っていたとのこと。今回の事例は、「Chainalysis Reactor」と、チェイナリシスの現地パートナーである「パフォーマンス・テクノロジーズ(Performance Technologies)」が調達・サポートを行ったことで実現したという。

今年2月に発生したバイビットのハッキング事件は、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス(Lazarus)」が関与しているとされ、犯行グループは、盗んだイーサリアム(ETH)を資金の流れを隠蔽する複雑な取引網を通じて、マネーロンダリングしたと見られている。事件発生から数ヶ月後、関連情報から不審な暗号資産取引が発見され、これがギリシャ当局が複雑な資金洗浄スキームを解明するきっかけとなった。

当局は、Performance Technologiesを通じて「Chainalysis Reactor」を導入し、高度なブロックチェーン分析能力を強化していたという。

Performance Technologiesのアナリティクス事業部は、専門的なコンサルティング、包括的なトレーニング、継続的な支援を提供し、当局の分析能力強化に不可欠な運用支援を実施。疑わしい取引が表面化した際、訓練を受けた当局のアナリストは迅速な行動をとれたという。

ブロックチェーン上の取引を可視化し、資金の流れをトレースできる「Chainalysis Reactor」を活用し、容疑者のウォレット内の暗号資産とバイビットのハッキングで利用された主要ウォレットとの関連性が暴かれたという。

このブロックチェーン追跡の成功により、当局は「凍結命令」を発令し、ウォレットとその内容を即時凍結。犯罪収益を不正な行為者の支配から排除した。この件は現在、管轄の検察当局に移管され、デジタル調査が具体的な法的措置へと移行しているとのことだ。

参考:発表
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者