ステーブルコイン市場成長、5,000億ドルにとどまる=JPモルガン予測

ステーブルコイン市場成長は5,000億ドルまでと予測

JPモルガン(JPMorgan)が、ステーブルコイン市場の成長が2028年までにせいぜい5,000億ドル(約72.5兆円)にとどまるとの予測を7月3日に発表し、1兆ドル(約145兆円)規模の成長予測について「あまりに楽観的すぎる」と指摘した。ドルに連動する暗号資産(仮想通貨)トークンが一般に広く採用されている証拠はほとんどないためだとした。

ステーブルコインは暗号資産として取引されたというルーツから踏み出して、決済と清算の高速化を目的としたフィンテック企業や銀行の関心を集めている。米議会は先月、上院が米国内でステーブルコインに関する規制を定めるための「ジーニアス(GENIUS)法案」を可決しており、アナリストたちは待ち望まれていた規制の明確化を実現する可能性があるだろうと指摘している。

上院がこのステーブルコイン法案を可決するまでに、スタンダードチャータード(Standard Chartered)は、ステーブルコイン市場の規模が2028年までに2兆ドル(約290兆円)に達する可能性があるだろうと予測し、バーンスタイン(Bernstein)は6月30日発表した見通しでステーブルコインの供給量が今後10年間に4兆ドル(約580兆円)程度まで伸びると予測した。

しかしJPモルガンはステーブルコインを決済方法に採用しているのはごくわずかにとどまり、全体のわずか6%、つまり150億ドル(約2.1兆円)程度を占めているに過ぎないと指摘した。現在のステーブルコイン市場を約2,500億ドル(約36.3兆円)と見積もり、その大半は暗号資産などの取引で利用されている。「ステーブルコインが日常的な通貨として従来の通貨に置き換わるという考えはまだ現実からは程遠い」と述べた。

ステーブルコインを暗号資産の取引市場以外で採用しようとすれば、限定的な用途や断片的な規制といった障害が立ちはだかっている。一方で、自国の中央銀行デジタル通貨や既存の決済システムの強化に注力している国が多く、ステーブルコインに対する国際的な理解は限定的にとどまっている。

中国人民銀行の総裁は6月、デジタル人民元の国際利用を拡大すると表明した。

中国の電子商取引(EC)大手アリババ(Alibaba)傘下のアントグループ(Ant Group)は、香港でステーブルコイン発行の認可取得を申請する予定だと述べた。

JPモルガンは「デジタル人民元の急速な拡大、アリペイや微信ペイの成功はいずれもステーブルコインの将来的な拡大事例にならない」と指摘した。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
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画像:Reuters

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あたらしい経済 編集部

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