金融庁、ステーブルコインの分析調査報告書を公開。リスク評価や課題も

ステーブルコインの実態把握を目的に

金融庁が、「ステーブルコインの健全な発展に向けた分析調査研究報告書」を6月30日公表した。

この報告書は、デロイト トーマツ コンサルティングが作成したもので、金融庁の公式見解を示すものではないと位置付けられている。

報告書では、市場でステーブルコインの存在感が増す中で、匿名性を悪用したマネロンや制裁逃れなどの不正利用への懸念が高まっていると指摘。この研究を通じて、ステーブルコインホルダーに対し、今後の発行やユースケースの発展に向けた、潜在的リスクへの対策方針が示されている。

報告書によると、昨年12月にステーブルコインの時価総額が2,000億ドルを超え、連続で増加傾向にあるという。またUSDTが最も高いシェアを誇り、USDC、利回り付きトークンのUSDeが続いている。

さらに報告書では各ステーブルコイン発行者の事業実態調査も実施。USDT・USDCの発行者概要も紹介されている。

また、報告書では、不正利用に占めるステーブルコインの割合増加や、犯罪手法の高度化の傾向が挙げられた。不正利用で広範に使われる暗号資産は依然としてビットコイン(BTC)がメインではあるが、制裁対象取引など一部の領域においてはステーブルコインの割合が高いとされている。

また、悪用のフローは「流入」「洗浄」「換金」の階階に分かれ、ミキシングやチェーンホッピング、複数の手法を組み合わせたマネロンの事例、ノンカストディアルウォレットなどがそれぞれの階階で活用されている実態が紹介されている。

こうした技術的手段の高度化に対する対抗策として、発行者によるブラックリスト機能の強化や、アドレス分析事業者による機械学習を用いたパターン分析、ウォレット事業者によるアラート機能などの実用例が紹介されている。

なお、報告書には、研究期間中に発生した最新の不正事案に関する事後分析も補足されており、関係者間での情報共有や連携が一部成功事例につながっていることも報告されている。

報告書は、これら一連の分析を踏まえた「主要アクター別のリスク評価と残課題」を今後の対応に向けたTODOリストとして網羅しており、関係者が連携して業界の健全な成熟を目指すべきだと結論づけている。

参考:「ステーブルコインの健全な発展に向けた分析調査研究報告書」
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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