米財務省、ハマスのテロ資金調達に暗号資産はほぼ関与していないとの見立て

報道内容は不正確と指摘

暗号資産(仮想通貨)が過激派組織ハマスやパレスチナ・イスラム聖戦の資金調達に使われたのはごく一部であり、同組織はいまだに従来の取引手法を好んでいるようだ。財務省でテロ・金融情報を担当するブライアン・ネルソン次官(Brian Nelson)が2月14日、下院金融サービス委員会で述べた。

ネルソン次官は、それらの組織が暗号資産で数千万ドルを受け取ったと報じたウォール・ストリート・ジャーナルの報道は不正確だと述べ、量としてはさほど多くないと見ていると述べた。

ウォール・ストリート・ジャーナルは昨年10月、パレスチナ・イスラム聖戦とハマスが2021年8月から2023年6月の間にそれぞれ9300万ドル(約139億円)と4100万ドル(約61億円)を受け取ったと報道。

その後ブロックチェーン分析企業のエリプティック(Elliptic)が新たに検証したデータを受けて、パレスチナ・イスラム聖戦の数字を1200万ドル(約18億円)に大幅修正した。

民主党のシェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)上院議員やエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員などの議員はこのデータを利用し、国家安全保障の名目で暗号資産業界に厳格な規則を課す立法活動に対する支持を集めている。

共和党のトム・エマー(Tom Emmer)下院議員は、報告された金額は「パレスチナ・イスラム聖戦やハマスに送金された金額ではなく、ウォレットに保管されていた金額」なのかと質問し、ネルソン次官は「私たちは、その可能性が最も高いと考えている。テロリストたちは、正直なところ、まだ伝統的な製品やサービスを好んで使っていると私たちは評価している」と回答している。

さらにエマー議員はハマスが使用する暗号資産が、報道されている量より少ないことに間違いがないかとネルソン次官に問い、ネルソン次官は「私たちの見立てでは、そうだ」と回答している。

関連ニュース

参考:公聴会
images:iStocks/rarrarorro

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

合わせて読みたい記事

【5/14話題】米コインベースのシステム全体が停止、Tanéがa16z委任でオプティミズムのガバナンスに参加など

米コインベースのシステム全体が停止中、現在は問題調査中、Tanéがオプティミズムのガバナンスに参加、a16z委任受け、米暗号資産団体がPAC発足、連邦議会選の候補支援 会員44万人から資金募る、ユニスワップ創設者が米大統領に暗号資産政策を見直すよう忠告、SECへの批判も、リップル社CEO、米政府がUSDTを標的にしていると発言。テザー社CEOはこれに抗議、Snap to Earn「SNPIT」のトークン「SNPT」、BOBG社で発行が決定、兼松、ブロックチェーン活用「TradeWaltz」で書類保管を全面電子化に、BlockdaemonがUAE進出、アブダビグローバルマーケット(ADGM)に登録、Eigen Layerの「EIGEN」が請求可能に、取引所には未上場、Fireblocks、認可済みカストディアンへのネットワーク提供へ、NYDFS規制下の信託会社設立も、オムニチェーンID認証展開「Layer3」、独自トークン「L3」初回エアドロを今夏実施へ、暗号資産ウォレット提供「エクソダス」、NYSEへの上場が遅延