三菱UFJ信託、グローバルに流通可能な「国産ステーブルコイン」発行に向けた共同検討を開始

三菱UFJ信託が「国産ステーブルコイン」発行に向けた共同検討を開始

三菱UFJ信託銀行が、グローバルに流通可能な「国産ステーブルコイン」の発行に向けた共同検討の開始を9月11日発表した。

この共同検討における「国産ステーブルコイン」は、資本系列を超えた複数の金融機関と横断的に協働のうえ、日本法に準拠したステーブルコインの発行管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」を活用し、発行するとのこと。なお「Progmat Coin」は、同行が開発を主導している。

発表によると、この共同検討における「国産ステーブルコイン」は、 2023年6月施行の改正資金決済法において想定される、「銀行預金型」・「資金移動型」・「信託型」のステーブルコイン(電子決済手段)のうち、「信託型」にて組成を行うとのこと。

また「国産ステーブルコイン」の裏付通貨の種類は、「円貨建て」および「外貨建て」となっており、その裏付通貨の種類ごとに同ステーブルコインは発行されるとのこと。また各ステーブルコインの名称についてもそれぞれ決められる予定とのことだ。

そして「国産ステーブルコイン」発行に向けた共同検討は、「概念実証」・「商用化Phase1(領域限定)」・「商用化Phase2(領域解放)」の3ステップによる進行が想定されている。

「概念実証」では、(1)各銀行の想定ユースケースにおける有用性検証(プログラマビリティ、移転範囲設計等)と(2)各銀行におけるパブリック(パーミッションレス)ブロックチェーンの特性把握が実現目標となっており、ステーブルコインの発行対象のブロックチェーンはイーサリアム(Ethereum)で裏付資産の紐付けは行わないという。

続けて「商用化Phase1(領域限定)」では、「国産ステーブルコイン」の速やかな発行が目的となっており、発行対象はイーサリアムで円貨および外貨と紐付けを行うとのこと。

そして「商用化Phase2(領域解放)」では、「国産ステーブルコイン」の利便性最大化を目的とし、複数のパブリックブロックチェーンで発行。マルチチェーン対応をおこなうとのこと。また円貨および外貨と紐付けもするとのことだ。

三菱UFJ信託銀行によると、仲介者が日本国内でステーブルコイン(電子決済手段)を業として取り扱うためには、改正資金決済法で新設された「電子決済手段等取引業」のライセンスを取得する必要があるとのこと。そのため法律施行から1号業者が新たにライセンスを取得するまでに概ね1年を要する(2024年6月頃)と想定し、「商用化Phase1」の実現は、2024年前半を目指しているとのことだ。

なお三菱UFJ信託銀行は、「国産ステーブルコイン」発行に向けた共同検討について、賛同する金融機関からの参画申し込みを随時受け付けるという。また、併せて「取扱仲介者」として「国産ステーブルコイン」の取扱いを希望する事業者からの参画申込も随時受け付けるとのこと。なお共に「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」事務局が受付を行うとのことだ。

三菱UFJ信託銀行ではステーブルコインを取り扱う「Progmat Coin」基盤の他、セキュリティトークン(ST)を取り扱う「Progmat ST」基盤、ユーティリティトークンを取り扱う「Progmat UT」基盤、各種デジタルアセットを対象としたウォレットサービスである「Token Manager」と「Token Wallet」の開発を進めている。

なおこれら基盤の推進は、10月2日に設立される「株式会社Progmat」に移行する予定となっている。

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参考:三菱UFJ信託銀行
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Максим-Ивасюк・Thinkhubstudio

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。