東京都、デジタル証券(セキュリティトークン)の発行支援事業を開始

東京都がデジタル証券の発行支援事業を開始

東京都が、デジタル証券(セキュリティトークン:ST)の発行支援事業の開始を5月31日発表した。

発表によるとこの事業では、金融商品取引法及び不動産特定共同事業法に基づき、デジタル証券を発行する都内の事業者に対して、発行に必要な経費の一部を補助するとのこと。

補助対象の経費となるのは、「プラットフォーム利用料」、「専門家等への相談経費」、「システム開発費用」とのこと。

また補助率は2分の1で、スタートアップの場合は3分の2になるという。なお1件あたりの上限は500万円とのことだ。

募集期間については、5月31日から来年の2月29日まで。ただし、この事業に係る東京都の予算限度額に達した場合、受付を締め切るとのこと。

また補助金の採択は、概ね1~2か月ごとに開催する審査会で行う予定とのことだ。

申請方法は、申請書類をJグランツによる電子申請又は郵送もしくは持ち込みとなる。

なお郵送及び落ち込み先は、「東京都スタートアップ・国際金融都市戦略室戦略推進部戦略事業推進課 国際金融都市担当」とのことだ。

東京都はブロックチェーンを活用して発行されるデジタル証券について、「従来の有価証券に比べて小口発行が可能で、発行体と投資家が直接つながることができる等の特徴があり、個人の投資促進やスタートアップの資金調達の多様化に資する等の効果が期待される」と説明している。

東京都は今回の支援事業により、「デジタル証券の多様な発行事例を創出し、ノウハウや課題を広く共有することで市場拡大を図る」としている。

セキュリティトークンとは

セキュリティトークンとは、ブロックチェーン等の電子的技術を使用してデジタル化し発行される法令上の有価証券のことを指す(Securities=有価証券)。株や債券などといった有価証券と同等の法規制が適用されるもの。ただし金商法に該当しないセキュリティトークンとして、「不動産特定共同事業法に基づく出資持分をトークン化したもの」の他に会員権などの「アセットの権利をトークン化したもの」も定義されている。

2020年5月施行の改正金融商品取引法によりセキュリティトークンは「電子記録移転権利」と規定され、金融機関での取り扱いが可能になった。しかし一方で金商法とは別に不動産特定共同事業法(不特法)に基づいたデジタル証券も発行されているのが現状だ。

今年3月に「不動産を裏付けにしたセキュリティトークン」を株式や債券、投資信託と同じく金融商品取引法に基づき金融商品として規制する方針を金融庁が固めたとして報道されている。

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参考:東京都
デザイン:一本寿和
images:iStocks/NanoStockk

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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