豪証券投資委員会がバイナンスAUデリバティブの金融ライセンス取消、現物取引は継続

バイナンスがオーストラリアでのデリバティブサービス停止へ

オーストラリア証券投資委員会(ASIC)が、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのオーストラリアでのデリバティブ部門のサービスライセンスを取り消したことを4月6日発表した。

発表によると、今回の取り消しはバイナンスからの要請を受けて行われたとのことだ。

具体的には、オズツアーズ・トレーディング・ピーティーワイ・リミテッド(Oztures Trading Pty Ltd)が、バイナンスAUデリバティブ(Binance Australia Derivatives)として取得していた金融サービスライセンス(AFSライセンス)が取り消しとなった。このライセンスによりこれまでバイナンスAUデリバティブは、デリバティブ・外国為替契約の発行・市場形成・代行での特定金融商品取り扱い・特定金融商品に関する金融商品アドバイスの提供などが許可されていた。

この取り消しにより、バイナンスAUデリバティブのユーザーは4月14日以降、デリバティブのポジションを増やしたり、新規開設が行えなくなるとのこと。これに伴いユーザーは4月21日までに既存のデリバティブポジションを決済する必要がある。なおバイナンスは21日に残っている全てのオープンポジションを閉鎖するとのことだ。

またASICは、「リテール顧客」と「ホールセール顧客」の分類を含む、オーストラリアでのバイナンスの金融サービス事業について審査を行ってきたという。3月29日には公聴会の通知を発行し、ライセンスの取り消しもしくは停止を検討したという。

ASICのジョー・ロンゴ(Joe Longo)委員長は、「AFSライセンス取得者が、法律に従ってリテール顧客とホールセール顧客を分類することは決定的に重要である」と述べ、「暗号デリバティブを取引するリテール顧客には、オーストラリア金融苦情処理機構を通じた外部紛争解決へのアクセスを含め、オーストラリアの金融サービス法の下で重要な権利と消費者保護が与えられている」と続けた。

またロンゴ委員長は「これらの問題については、消費者被害の程度に焦点を当てるなど、私たちのターゲットを絞ったレビューが進行中だ」とも述べている。

バイナンスの声明

バイナンスは複数のメディアへ声明を発表している。

バイナンスは、バイナンスAUデリバティブに残っている約100名程度のユーザーに対し、撤収プロセスの通知を行ったという。またバイナンスは、オーストラリアユーザーに対し暗号資産の現物取引サービスは引き続き提供していくと伝えている。

バイナンスAUでは今年2月、一部ユーザーのデリバティブ取引口座が強制的に閉鎖された事態が発生。バイナンスAUではデリバティブ取引を「ホールセール投資家」のみに提供する規約となっているが、バイナンスUSが一部ユーザーを誤って「ホールセール投資家」として分類していたため、対象ユーザーに対し同措置を行っていた。

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参考:オーストラリア証券投資委員会
デザイン:一本寿和
images:iStocks/werbeantrieb

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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