米コインベース、ETHのリキッドステーキングトークン「cbETH」を発行

米コインベース、ETHのリキッドステーキングトークン「cbETH」を発行

米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が、イーサリアム(ETH)のリキッドステーキングトークンを発行することを8月25日に発表した。

リキッドステーキングトークンとは、ステーキングによって資産がロックされている状態における流動性を確保することを目的として発行されるトークンのことであり、ステークされた資産の所有権を表す。

イーサリアム(Ethereum)は来月中旬に「マージ(The Merge)」と呼ばれる大型アップグレードが行われる予定となっており、それによってコンセンサスアルゴリズムがPoWからPoSへ移行される。イーサリアムのPoSでは一定量のETHをステークする(賭ける/預ける)ことでバリデーター(ネットワーク検証者)になることができるが、一度ETHをステークしてしまうと次のシャンハイ・アップグレードが完了するまで手数料報酬以外の資産を引き出すことができなくなる。

この問題を解決すべく、コインベースはイーサリアムステーカーに向けて「Coinbase Wrapped Staked ETH(cbETH)」と呼ばれるトークンを発行する。cbETHのホワイトペーパーによると、cbETHはコインベースを通じてステークされたETHの所有権を表すトークンであり、cbETHの移動を通じて、ロックされたETHの移動を疑似的に実行するとのこと。

なおcbETHの価格はETHと1:1で対応するわけではなく、ETHの価格とステークされたETHから得られる利子を合わせた価格になるとのことだ。

コインベースはcbETHを発行するもう一つの目的として「リキッドステーキング市場の多様性の向上」を挙げている。現在イーサリアムのリキッドステーキング市場はリド(Lido)が独占している状態であり、リドを通じてステーキングされたETHは全体の30%に上るとのこと。この状態はイーサリアムの分散性とセキュリティの阻害につながるため「リキッドステーキング市場には、差別化された品質を持つ強力で競争力のあるソリューションが必要」だとしている。

なおcbETHは、流動性条件が満たされていれば8月25日からコインベース上でトレード可能になる予定とのこと。将来的にはcbETHをDeFiなどにも利用できるようにする予定とのことだ。

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参考:Coinbase
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Oleksandr-Shatyrov

この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部 一橋大学2年生 真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

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