ビットコイン、6週間ぶり安値から反発。米民主党の上下両院奪還で一時下落

米民主党の上下両院奪還が暗号資産市場に逆風

暗号資産(仮想通貨)相場は11月4日、前夜の下落から持ち直した。米中間選挙で民主党が連邦議会上下両院の多数派を獲得したことを受け、暗号資産は下落していた。選挙結果は、デジタル資産の規制緩和の加速を求めてきた業界にとって打撃となる可能性がある。

規制緩和を訴える人物として最も注目を集めてきたのは、共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領だが、民主党の一部も規制の負担を抑える方針を支持している。

暗号資産業界は今回と前回の選挙を通じ、暗号資産に友好的な民主党と共和党の政治家の支援に3億ドル(約474億円)超を投じた。両党への支援額はおおむね同程度だった。

ビットコイン(Bitcoin:BTC)は一時、6週間ぶりの安値を付けた後に持ち直し、日本時間4日午後5時41分時点で前日比0.7%高の7万8,354ドル(約1,239万円)で取引された。株式市場でも相場が反転し、米株価指数先物は夜間に一時2%下落した後、0.3%高となった。イーサ(Ether:ETH)は1.4%上昇し、2,323ドル(約36.7万円)で取引された。

ビットコインは2025年10月に約12万6,198ドル(約1,995万円)の過去最高値を付けて以降、約38%下落している。暗号資産情報サイトのコインマーケットキャップ(CoinMarketCap)によると、暗号資産市場全体の時価総額は約2兆6,100億ドル(約412.6兆円)まで縮小した。

ソラナ(Solana)のSOL、ドージコイン(Dogecoin:DOGE)、カルダノ(Cardano)のADAなど、比較的規模の小さい暗号資産も4日に1.6〜2.2%上昇した。ただし、暗号資産情報サイトのコインゲッコー(CoinGecko)によると、これら3銘柄はいずれも過去1カ月で25%近く下落している。

ハッキング被害やAIを巡る懸念も

暗号資産市場全体の時価総額は、過去1カ月で約3,000億ドル(約47.4兆円)減少した。人工知能(AI)への投資が将来どの程度の収益を生むかを巡る懸念が深まり、借入コストの上昇も重荷となる中、投資家は国債や安全資産とされる通貨など、リスクの低い資産に資金を移している。

LSEG/リッパー(Lipper)のデータによると、10月にはビットコインを裏付け資産とする主要な上場投資信託(ETF)から2億1,500万ドル(約340億円)が流出した。年初来の流出額は18億4,000万ドル(約2,909億円)となった。

先週、暗号資産取引所バイナンス(Binance)で発生した約63億4,000万ドル(約1兆円)相当のハッキング被害も市場心理を悪化させた。これは暗号資産史上最大の盗難事件となった。同データによると、事件を受けてビットコインETFからは週間で8億8,400万ドル(約1,397億円)が純流出し、7月初め以来最大の週間純流出額となった。

世界最大の暗号資産取引所であるバイナンスでは、ハッキング被害を受けて週末に出金サービスを段階的に再開してから11月3日までに、顧客による資金の引き出し額が預け入れ額を47億2,000万ドル(約7,461億円)上回った。

ハッシュキー(HashKey)のシニアリサーチャー、ティム・サン(Tim Sun)氏は「市場は暗号資産のリスクとリターンのバランスを見直しているのかもしれない。一連のセキュリティー事故を受け、投資家は業界のセキュリティー基盤や資産保管に伴うリスクを再検討せざるを得なくなっている」と述べた。

さらに「米国の政治情勢が変化すれば、暗号資産の基本的なルールを定める法整備や制度的な枠組みの構築が停滞する可能性もある。こうした要因から、暗号資産市場は強い逆風に直面している」と指摘した。

トランプ氏は2024年の大統領選で、米国を「暗号資産の世界的な中心地」にすると訴えていた。同氏は自身のミームコイン「トランプ(TRUMP)」の発行や、一族が手掛ける暗号資産プラットフォーム「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)」などを通じ、自らもデジタル資産分野に進出している。

大統領への復帰から2年近くの間に、トランプ氏は規制の執行を緩和し、戦略的ビットコイン準備金を創設した。

米国ではさらに、銀行サービスや上場投資商品の利用が容易になり、連邦レベルのステーブルコイン法も成立した。同法は、ステーブルコインが一般的な決済・送金システムに普及する後押しとなる可能性がある。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Crypto tracks stocks higher after Democrat midterm wins
(Reporting by Amanda Cooper in London and Jiaxing Li in Hong Kong; editing by Barbara Lewis)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。