イーサリアム次期アップグレード「グラムステルダム」、Hoodiでの実施延期。既存コントラクトへの影響調査で

EIP-8037との相互作用を追加調査、新たな実施日は未定

イーサリアム財団(Ethereum Foundation)が、イーサリアム(Ethereum)の次期大型アップグレード「グラムステルダム(Glamsterdam)」について、テストネット「フーディ(Hoodi)」での実施を延期すると10月22日に発表した。

当初の実施予定は10月26日17:42:48(UTC、日本時間27日2:42:48)だった。新たな実施日は決まっていない。延期は、22日に開かれたコア開発者会議「All Core Devs – Execution(ACDE)#248」で決定された。

財団によると、延期の理由は、イーサリアム改善提案「EIP-8037」とメインネット上のスマートコントラクトの相互作用をさらに調査するためだという。

EIP-8037は、新しいアカウントやコントラクトの保存データなど、ブロックチェーン上に新たな「状態」を作成する際のガスコストを引き上げる提案だ。あわせて、状態の作成にかかるコストを、通常の実行処理とは分けて計測する仕組みを導入する。保存データの過度な増加を抑え、処理能力の拡大を支える狙いがある。

今回の懸念に関連し、スマートコントラクトのセキュリティ企業チェーンセキュリティ(ChainSecurity)は、10月13日付の技術解説で、EIP-8037と、状態へのアクセスにかかるガスコストを見直す「EIP-8038」が既存コントラクトに与える影響を指摘していた。

同社によると、変更後の仕様では、外部コントラクトの呼び出しがガス不足で失敗した場合に、従来なら全体が取り消されていた処理でも、失敗を記録する後続処理まで完了する可能性があるという。その結果、本来は再試行できる操作が恒久的な失敗として扱われるなど、既存コントラクトの安全性を支える前提が変わると説明している。

今回の延期に伴い、アップグレードと同時に予定していたHoodiのガス上限を2億に引き上げる計画も、スケジュールから削除された。財団はHoodiのノードやバリデーターの運用者に対し、各クライアント開発チームの案内に従い、延期を反映したソフトウェアや設定に更新するよう呼びかけている。

グラムステルダムは、取引やスマートコントラクトを処理する実行層(エグゼキューションレイヤー:Execution Layer)のアップグレード「アムステルダム(Amsterdam)」と、合意形成層(コンセンサスレイヤー:Consensus Layer)のアップグレード「グロアス(Gloas)」を組み合わせたものとなる。

グラムステルダムでは、ブロック提案者と構築者の役割分離をプロトコルに組み込む「ePBS」や、ブロック内でアクセスするアカウント・保存領域などを記録する「ブロックレベルアクセスリスト(BAL)」などが導入される予定だ。これらの変更により、ブロックの生成・検証を改善し、イーサリアムの処理能力拡大を目指す。

今回の発表はHoodiを対象としたものだ。テストネット「セポリア(Sepolia)」では、すでに10月6日に実施されている。

グラムステルダムのメインネット実施日は従来から未定である。なお今回の発表を受けてメインネットの利用者や暗号資産「イーサリアム(ETH)」の保有者が対応する必要はないという。

参考:イーサリアム財団・ACDE #248・ChainSecurity・EIP-8037 
画像:PIXTA

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。