レジャー、Android搭載端末「Ledger Atom」提供へ。ソラナモバイルと連携

暗号資産管理やAIの操作承認に対応、2027年出荷予定

暗号資産(仮想通貨)のハードウェアウォレットを開発する仏レジャー(Ledger)が、Androidベースの新端末「レジャーアトム(Ledger Atom)」を10月15日に発表した。同社はパリで開催したイベント「Ledger Op3n 2026」で同端末を披露した。製品の出荷は2027年の予定だ。

発表によるとレジャーアトムは、一般的なアプリの利用と、暗号資産の取引署名やAIエージェントの操作承認などを1台で行うための端末だ。同社は、暗号資産に加え、本人認証や通信なども保護するセキュリティ・プライバシー端末と位置付けている。

同端末では、Androidのオープンソースプロジェクト「Android Open Source Project(AOSP)」を基にした環境で一般的なアプリを動かす。一方、秘密鍵や署名などは、独立したセキュリティチップ上で動作する同社独自OS「Ledger OS」で管理する設計だ。

取引の署名など、対応するアプリで利用者の承認が必要な操作では「Secure Mode」に切り替わり、Ledger OSが画面を直接制御する。利用者は同モードで操作内容を確認し、承認する。画面上部にはモードを示す「Secure Bar」を設け、通常のアプリが動作する環境と区別できるようにするという。

暗号資産管理では、同社のアプリ「Ledger Wallet」を端末に統合する。利用者は同アプリから送金操作を行い、Secure Modeで署名できる。また、同アプリを通じて利用できる第三者のサービスで、暗号資産の購入・売却・交換なども行える予定だ。 

AI関連では、AIが提案した操作を利用者が確認・承認する「Ledger Agent Intent」に対応する。AIエージェントに秘密鍵を渡さず、重要な操作の実行前に利用者の承認を求める仕組みだ。AIエージェント基盤「OpenClaw」との連携も予定している。

レジャーアトムには、カメラとマイクの電源を回路レベルで遮断する物理スイッチも搭載する。携帯電話回線はデータ通信専用で、通常の音声通話やSMSには対応しない。音声・ビデオ通話には、インターネット経由で通信する第三者のアプリを利用する仕様だ。

また、レジャーは、レジャーアトムの包装の不正開封や、本体の開封・画面の取り外しなどを防止・検知する対策も組み込む予定だ。販売はレジャーの公式サイトで直接行うとしている。

レジャーは、レジャーアトムの数量限定モデル「Founders Edition」の予約受付を開始した。予約特別価格は849ドルで、予約時に全額返金可能な100ドルの予約金を支払う。発売後の注文価格は899ドルを予定している。ただし、レジャーアトムは開発中のため、仕様や機能、価格などは変更される可能性がある。

ソラナモバイルがレジャーを初のハードウェア拡張パートナーに選定

ソラナモバイル(Solana Mobile)も同日、レジャーを初のハードウェア拡張パートナーに選定したと発表した。ソラナモバイルは、自社のウォレットとアプリストアを他社製の端末にも展開する。

ソラナモバイルは、ブロックチェーン「ソラナ(Solana)」に対応したスマートフォン「サガ(Saga)」や「シーカー(Seeker)」を展開する企業だ。

今回の提携では、ソラナモバイルのウォレットと「Solana dApp Store」を統合した「Seeker」アプリを、レジャーアトムにプリインストールする予定だ。ソラナモバイルによると、同ストアには取引や決済、ゲーム、AIなどの分野で1,500超の分散型アプリ(dApps)があり、これらをレジャーアトムでも利用できるようにする方針だ。Seekerアプリでの署名や承認にも、Secure Modeを使用するという。

なおレジャーは同日、東南アジアの販売店経由で流通した既存のハードウェアウォレットに不正部品が組み込まれ、初期設定時のリカバリーフレーズを盗み取る攻撃があったと説明した。リカバリーフレーズはウォレットの復元に使う情報だ。同社は、販売店での製品の店頭展示を禁止するなど、流通経路での製品管理を厳格化している。

参考:レジャーブログ・プレスリリース・ソラナモバイル
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。