Sui、オフチェーンの公開実験で毎秒4000万件超の処理を記録。AIエージェント向け技術で

スイ・トンネルで毎秒4,061万件の処理を記録

レイヤー1ブロックチェーン「スイ(Sui)」を支援するスイ財団(Sui Foundation)が、公開負荷テストにおいて、オフチェーン処理技術「スイ・トンネル(Sui tunnels)」内のトランザクションが毎秒40,614,180件処理されたと10月7日に発表した。同実験は、シンガポールで開催されたスイの年次カンファレンス「スイ・ベースキャンプ(Sui Basecamp)」で実施された。なお、今回の記録はスイ・トンネル内で測定されたもので、メインネット自体のトランザクション処理性能を示すものではない。

今回の実験は、AIエージェントによる大量の取引を想定し、高速処理能力を検証する目的で実施された。AIエージェントとは、与えられた目的に応じて自律的に判断・行動するAIシステムのことだ。こうしたAIが自動的に決済やサービスの利用などを行う経済活動は「マシンコマース(機械による商取引)」と呼ばれる。人間による取引と異なり、AIエージェント同士のやり取りでは、短時間に大量の処理が発生する可能性がある。

今回の実験に使用されたスイ・トンネルは、参加者間に「トンネル」と呼ばれる取引チャネルを開設し、ブロックチェーンの外部で取引を処理する仕組みだ。最終的な結果は、トンネルを閉鎖する際にスイのメインネットで確定する。

今回の実験では、人間のユーザーとAIエージェントが、トンネル内でチャットやゲーム、決済などを実行した。また、こうしたトンネルが1万以上、数秒の間にスイのメインネットで開設された。会場やオンラインの参加者には、実験の状況を確認するための専用エクスプローラーも用意された。今回の処理性能は、当初の目標だった毎秒2,000万件の約2倍となった。

スイ財団は今年7月17日にも、スイ・トンネルを使用した公開実験の結果を発表している。同月4日に実施された実験では、毎秒6,086,766件の処理を記録した。今回の記録はその約6.7倍に相当する。

今回の実験は、ミステンラボ(Mysten Labs)の共同創設者兼最高製品責任者(CPO)であるアデニイ・アビオドゥン(Adeniyi Abiodun)氏が主導した。ミステンラボはスイの初期開発を手がけた企業だ。また、第三者による検証には、Web3セキュリティ企業のサーティック(CertiK)が独立監査人として参加した。スイ財団は、サーティックが実験結果をリアルタイムで検証したと説明している。同社は今後、暗号学的証明や実行ログなどの関連資料を詳しく調査し、近日中に報告書を公開する予定だ。

また、スイ・トンネルは、ビットコイン(Bitcoin)のライトニングネットワーク(Lightning Network)で使われる決済チャネルと似た仕組みを持つ。一方、スイ・トンネルは決済に限らず、さまざまな処理を実行できるようプログラム可能な点が特徴だ。

スイ財団によると、閉鎖された各トンネルには参加者双方の署名が付され、取引結果をブロックチェーン上で独立して検証できるという。また、トンネルの開設と閉鎖に必要なトランザクションは基本的に2件で、その間の処理にかかるコストをほぼゼロに抑えられるとのことだ。さらに、トンネル内のやり取りはプライバシーを確保でき、オフラインでの利用にも対応するという。

アビオドゥン氏は、AIエージェントが自律的に取引する経済では、スイがすべてのやり取りを直接処理するのではなく、その信頼性を保証する基盤として機能することが重要だと説明した。同氏はスイを裁判所に例え、AIエージェントがトンネルの開設時にルールに合意し、閉鎖時に結果を確定させる仕組みを紹介した。途中で紛争が発生した場合には、スイが自動的かつ透明性のある形で解決するとのことだ。

参考:ブログ1・ブログ2
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。