EEZ、L1・L2間の同期コンポーザビリティをメインネットで実証
イーサリアム・エコノミック・ゾーン(Ethereum Economic Zone:EEZ)のコントリビューターであるエドゥアルド・アントゥーニャ(Eduardo Antuña)氏が、イーサリアムのメインネット(L1)からレイヤー2(L2)へのアトミックなクロスチェーントランザクションを実行したと10月6日に自身のXアカウントで発表した。
EEZは、イーサリアムL1とL2を同期的に連携させるためのフレームワークだ。同氏によると、L1からL2へのアトミックなクロスチェーントランザクションがメインネットで実行されたのは史上初だという。
今回の取引ログには、イーサリアムのメインネットからL2への0.001ETHを伴うクロスチェーンの呼び出しと、ロールアップの状態更新が記録されている。アントゥーニャ氏は今回の取引について、「アトミックな同期コンポーザビリティは、もはや構想ではない」と説明している。
イーサリアムでは、メインネットであるL1の外部で取引を処理するロールアップなどのL2が普及し、処理能力の拡張が進んできた。一方、それぞれのL2は独立した実行環境として動作している。そのため、L1や異なるL2にあるスマートコントラクトを、同じチェーン上にある場合と同じように一つの取引として直接組み合わせることは難しい。
現在もブリッジなどを利用すれば、L1とL2や異なるL2の間で資産や情報を移動できる。ただし、現在のL2間の連携では、一方のチェーンで処理した結果を別のチェーンへ伝え、その後に次の処理を行う非同期型の仕組みが多く使われている。またL2の増加に伴い、流動性やアプリケーションなどが複数の実行環境に分散する「フラグメンテーション(分断)」も課題となっている。
イーサリアム財団(Ethereum Foundation)も今年3月、マルチチェーン化に伴う主要な課題としてフラグメンテーションを挙げた。そのうえで同財団は、L1との緊密な統合を目指すL2について、同期コンポーザビリティや相互運用性、共有流動性などを実現する方向性を示している。
こうした課題への対応を目指す取り組みの一つがEEZだ。EEZは今年3月に発表され、イーサリアム関連のインフラ開発を手掛けるノーシス(Gnosis)と、ゼロ知識証明技術を開発するジスク(ZisK)が創設コントリビューターとして参画している。またEEZはイーサリアム財団から資金提供を受け、オープンソースの共有インフラとして開発されている。
EEZが目指す「同期コンポーザビリティ」とは、異なる実行環境にあるスマートコントラクトを組み合わせ、その応答を同じトランザクション内の次の処理に利用できるようにする仕組みだ。具体的には、EEZ上のL2にあるスマートコントラクトから、イーサリアムのメインネットや別のEEZ上のL2にあるスマートコントラクトを呼び出し、その結果を受け取って処理を続けられるようにする。
さらにEEZでは、こうした複数の処理を「アトミック」に実行する。アトミックとは、一連の処理を一体として扱い、すべて成功するか、いずれかが失敗した場合にはすべて成立させない仕組みを指す。例えばL2からL1上のスマートコントラクトを呼び出し、その結果を使ってL2側で別の処理を行う場合、途中の処理だけが成立する状態を防げる。
同期コンポーザビリティとアトミックな実行を組み合わせることで、L2上のアプリケーションからイーサリアムのメインネットにある流動性やプロトコルを呼び出し、その結果を同じトランザクション内で利用できるようになる。EEZはこれにより、L2ごとに流動性を分けて用意するのではなく、イーサリアム上にすでに存在する流動性をL2から利用できる環境を目指している。
なおEEZの完全な仕様はまだ開発段階にある。ノーシスDAOは今年8月、現在は独立したL1として稼働するノーシスチェーンを、イーサリアムで決済するEEZロールアップへ移行する方針を承認した。ノーシスEEZの最初の実装は、今年12月から2027年1月ごろの稼働を目標としている。
ノーシスEEZは初期段階で、L2からL1へのアトミックな呼び出しと暫定的な証明システムに対応する予定だ。一方、双方向のコンポーザビリティや複数のチェーンにまたがる入れ子状の呼び出し、リアルタイムのゼロ知識証明などを含む完全なEEZ仕様は、2027年中の実現が見込まれている。
Atomic synchronous composability is no longer a promise. History made on mainnet: the first atomic cross-chain L1->L2 transaction ever 🔥 And this is only the beginning for EEZ … 🚀 @etheconomiczone https://t.co/3jFrEA6ThW
— Eduardo Antuña (@eduadiez) October 5, 2026