モカ財団とモカネットワーク、「Moca Chain」メインネット公開。検証済みID情報を複数サービスで利用可能に

Moca Chainメインネットがローンチ

モカ財団(Moca Foundation)とモカ・ネットワーク(Moca Network)が、デジタルIDに特化したL1ブロックチェーン「モカ・チェーン(Moca Chain)」のメインネットをローンチしたと9月29日に発表した。

モカ・チェーンは、本人確認済みであることや会員資格などの検証済み情報を、元となる個人情報の開示を最小限に抑えながら複数のサービスで利用できる基盤を提供する。

現在のデジタルIDでは、異なるサービスを利用するたびにユーザーが本人確認を求められる場合がある。モカ・ネットワークは、その結果としてユーザーの個人情報が複数のサービスに分散して保管され、セキュリティ上の脆弱性が高まると指摘している。

モカ・チェーンでは、金融サービスや通信、小売、チケットサービスなどの事業者がユーザーデータを検証し、検証可能なクレデンシャル(資格・属性情報)を発行できるという。例えば「本人確認を完了している」といった確認結果を、元となる身分証明書などの個人情報そのものとは分けて利用できる。ユーザーはクレデンシャルを自身で管理し、どのサービスに共有するかを決められる。

モカ・チェーンと連携するアプリケーションは、ユーザーの本人確認状況などを照会する際に、身分証明書などの元データではなく、デジタル認証された確認情報を受け取る。クレデンシャルは更新や失効も可能で、その変更はモカ・チェーンに反映される。このためユーザーは、サービスごとに最新の証明情報や身分証明書一式を提出する必要を減らせるとのことだ。

企業向けにID・決済・ロイヤルティを提供する「AIR」

モカ・チェーン上には、モカ・ネットワークが開発する「エアー(AIR)」が構築されている。エアーは、企業がモカ・チェーンのID基盤を自社サービスなどで利用するためのプロダクトレイヤーで、ID、決済、ロイヤルティ機能を提供する。

エアーでは、企業が既存の顧客確認で得た結果をモカ・チェーン上のクレデンシャルに変換できる。企業は、信頼できる他の事業者が発行したクレデンシャルも受け入れられる。モカ・ネットワークは、これらの機能により企業がユーザー登録時の本人確認を簡素化し、検証済みデータに基づいてサービスへのアクセスなどを自動化できると説明している。

エアーは、ID機能の「エアー・アイデンティティ(AIR Identity)」、決済機能の「エアー・マネー(AIR Money)」、ロイヤルティ機能の「エアー・ロイヤルティ(AIR Loyalty)」で構成される。エアー・アイデンティティは必要な属性だけを選択して開示する本人確認機能を提供する。エアー・マネーは外部サービスを利用した決済や支払い、精算を可能にする。エアー・ロイヤルティはポイントを利用したプログラム可能な報酬機能を提供する。

モカ・ネットワークは今後、エアーのIDの仕組みをAIエージェントにも拡張する計画だ。AIエージェントがユーザーに代わって商品の購入や予約などを行う際に、ユーザーはAIエージェントに限定的かつ取り消し可能な権限を与えられるようになる。企業側は、AIエージェントの背後にいるユーザーや権限の有効性、要求された行動が権限の範囲内かどうかを確認できるようになるとのことだ。このAIエージェント向け機能は、現時点ではメインネットで提供されていない。

モカ・ネットワークとエアーのエコシステムでは、韓国のエスケー・プラネット(SK Planet)、教育分野のオープン・キャンパス(Open Campus)、サッカープラットフォームのワンフットボール(OneFootball)、自動車メーカーのアウトモビリ・ランボルギーニ(Automobili Lamborghini)、ブロックチェーン分析企業のナンセン(Nansen)などが統合パートナーとして挙げられている。

モカ・ネットワークは、アニモカ・ブランズ(Animoca Brands)が立ち上げたデジタルIDネットワークだ。モカ・ネットワークによると、アニモカ・ブランズは600社以上のポートフォリオ企業を抱えており、同ネットワークの潜在的な対象ユーザーは7億人以上にのぼるとのことだ。

なおモカ財団は2025年6月、モカ・チェーンをIDとユーザーデータに特化したL1として発表した。当時はテストネットを同年第3四半期、メインネットを第4四半期に公開する予定としていた。

参考:アニモカ・ブランズ1 ・ アニモカ・ブランズ2
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。