暗号資産FAQ更新
米商品先物取引委員会(CFTC)の市場参加者部門(MPD)、市場監督部門(DMO)、清算・リスク部門(DCR)が、暗号資産とブロックチェーン技術に関する登録業者向けFAQ(よくある質問)を9月24日に更新した。
今回の更新では4項目が新たに追加された。先物取引業者(FCM)や清算機関(DCO)が、顧客資金をトークン化された適格投資商品で運用することや、規制上必要な記録の作成・保存にブロックチェーンを利用することなどについて、スタッフ見解が示されている。
CFTCのマイケル・セリグ(Michael S. Selig)委員長は声明で、今回の更新について、暗号資産市場に規制上の明確性をもたらすための継続的な取り組みの一環だと歓迎した。
新設されたQ12では、FCMやDCOが、CFTC規則1.25で認められている投資対象をトークン化した資産に顧客資金を投資できるとの見解が示された。
条件として、原資産自体が規則1.25上の適格投資対象であることに加え、トークン保有者が従来型の資産を保有する場合と同一、または機能的に同等の法的・経済的権利を有することが求められる。
また流動性や集中投資の上限、満期、商品特性など、規則1.25が定める要件をすべて満たす必要がある。さらに対象資産は、規則上認められた適格な預託機関で保管されなければならない。
トークン化された政府系マネー・マーケット・ファンド(MMF)に投資する場合には、規則1.26(b)に基づき、保管責任を負う機関から書面による確認書を取得することも求められる。
一方、既存のQ4では、FCMが顧客資金をペイメント・ステーブルコインに投資することは認められないとの見解が維持された。
つまりステーブルコイン自体は顧客資金の投資対象にはならない一方、米国債やMMFなど、もともと規則1.25で認められている資産をトークン化した商品については、一定の条件下で投資可能になるという整理だ。
記録保存についてもQ13からQ15までの3項目が新設された。
Q13では、CFTC規則1.31に基づく記録保存要件について、同規則は特定の技術を前提としない「技術中立」なものだと説明。規制要件を完全に満たす限り、ブロックチェーン上で記録を作成・保存することについて、スタッフは異議を唱えないとの見解を示した。
その際、電子記録の真正性や信頼性を確保するためのシステムや管理体制を整備することに加え、ブロックチェーン利用が既存のリスク管理体制や社内規程に与える影響も検討する必要があるとしている。
Q14では、スワップデータの記録保存を定める規則45.2についても同様に技術中立との見解が示された。
Q14の対象には、スワップ執行ファシリティ(SEF)、指定契約市場(DCM)、DCO、スワップディーラー、主要スワップ参加者などが含まれる。
Q15では、ブロックチェーン上に記録を保存する事業者が、オフチェーン上に別途複製を保有していないことだけを理由に、スタッフが異議を唱えることはないとした。
ただし誰でも参加できるパブリックかつパーミッションレスなブロックチェーンを利用する場合には、ネットワークやブロックエクスプローラーが停止するなどしてアクセスできなくなった場合でも、CFTCによる検査時に必要な記録を提出できるシステムや管理体制を整備する必要があるとしている。
既存のQ5も今回改訂された。
非清算スワップの証拠金として、一般的な暗号資産やペイメント・ステーブルコインを差し入れることは引き続き認められない。
一方で、既存の適格担保資産をトークン化したもので、従来型資産と同一または機能的に同等の法的・経済的権利を与えるものについては、証拠金として利用できるとの見解が明確化された。
具体的には、一定の条件を満たすトークン化MMF持ち分について、非清算スワップの当初証拠金および変動証拠金として利用することに、スタッフは異議を唱えないとしている。
CFTCは7月13日、証券貸借やレポ取引などを行うMMF等を適格担保から除外する条件の撤廃を含む、非清算スワップの証拠金規則の改正を採択したと発表した。改正規則は7月17日に官報に掲載され、8月17日に発効した。これによって証拠金として利用可能なファンドの対象範囲が拡大した。
市場参加者からの意見も反映
今回更新されたFAQの初版は3月20日に公表された。
FAQでは、CFTCスタッフが2025年12月に発出したトークン化担保に関するガイダンス「スタッフレター25-39」や、同月に発出されたスタッフレター25-40を一部修正し、2026年2月に再発行したノーアクション・レター「26-05」などについて、市場参加者から寄せられた質問に回答している。
また記録保存に関する新設項目については、大統領令14405に関連し、CFTCが6月16日に実施した情報提供要請(RFI)への回答で、規則1.31および45.2が取り上げられていたことにも言及した。
FAQでは、dYdX Labs、ブロックチェーン協会(Blockchain Association)、ソラナ政策研究所(Solana Policy Institute)から寄せられたコメントが挙げられている。
なお今回のFAQは、MPD、DMO、DCRの3部門によるスタッフ見解であり、CFTC委員会全体としての公式見解を示すものではない。また新たな法的権利や義務を創設する規則でもない。
参考:発表
画像:PIXTA