トランプ大統領、米暗号資産市場構造法案「CLARITY」の倫理規定強化案の大部分に同意=報道

州司法長官に提訴権限、暗号資産発行企業の一定持分は売却かブラインドトラストへ

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、米連邦議会で審議中の暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「クラリティ法(CLARITY Act)」の成立に向け、より厳格な倫理規定案の大部分を受け入れたようだ。「AP通信」が9月14日に報じた。

CLARITY法案は、暗号資産の法的分類や、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の管轄、暗号資産事業者に対する規制などを定める市場構造法案だ。

共和党のシンシア・ルミス(Cynthia Lummis)、ジョン・ブーズマン(John Boozman)、ティム・スコット(Tim Scott)の各上院議員は9月14日、同法案の最終案を公表した。3議員は、民主党の要請を受けた126項目の実質的な変更を反映したと説明している。

これに先立つ倫理規定案では、連邦選出公職者とその配偶者、連邦判事によるデジタル資産の発行を禁止する内容が示されていた。しかし一部の民主党議員や共和党のトム・ティリス(Thom Tillis)上院議員は、トランプ大統領の暗号資産事業を巡る利益相反への対策として不十分だと主張していた。

ティリス議員と民主党のルーベン・ガレゴ(Ruben Gallego)上院議員は、米司法省に加えて州司法長官にも執行上の役割を与えることなどを提案した。また、公職者が一定の暗号資産関連事業に持つ金融上の利害について、持分の売却か適格ブラインドトラストへの移管を求めた。

AP通信によると、共和党の上級スタッフは、トランプ大統領がティリス、ガレゴ両議員による提案の約80%を受け入れたと説明したという。主な合意事項として、州司法長官に関する規定を挙げたとのことだ。

最終案では、対象となる公職者などとその配偶者が、対価を得てデジタル資産を発行またはスポンサーすることを禁止する。また、過去3年のいずれかでデジタル資産の発行またはスポンサーによる収益が最大の収益源となった企業や子会社について、1万5,000ドル(約231万円)以上の株式持分を保有する場合、その持分を売却するか、適格ブラインドトラストへ移すことが求められる。

州司法長官は、対象者による違反で州や州民が被害を受けたと主張する場合、米司法長官を相手に差止めを求める民事訴訟を起こせる。また、違反して発行された暗号資産を掲載した取引所などの仲介業者に対しては、州司法長官が直接、差止めや民事制裁金を求められる。

AP通信は、この規定が条件に該当した場合、トランプ大統領に暗号資産事業ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)の持分売却などを求める可能性が理論上あると報じている。ただし、同事業への適用が確定したわけではない。

一方、ガレゴ議員は、新たな倫理規定には不十分な点が多いとの見解を示した。ティリス議員とともに、倫理規定に関する新たな対案を示す方針だという。

同倫理規定は法案成立直後には発効しない。成立から360日後、または関連するSEC最終規則の官報掲載から60日後のうち、早い日から適用される。発行・スポンサーの禁止は、発効日以後に発行またはスポンサーされたデジタル資産が対象となる。

米上院では、CLARITY法案の審議入り動議に対する討論終結動議が、9月15日14時15分(米東部時間、日本時間16日3時15分)に採決可能となる。討論終結には通常60票が必要だ。討論終結が可決された場合、今回の最終案が差し替え修正案として提出される予定である。本稿執筆時点(9月15日16時42分)、採決は行われていない。

参考:AP通信
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。