ホワイトハウス高官と米財務長官も超党派支持を呼びかけ
米上院で、暗号資産(仮想通貨)の市場構造法案「CLARITY法(Digital Asset Market Clarity Act of 2025)」を巡る重要な手続き採決が9月15日に行われる予定だ。
採決の対象となるのは、CLARITY法案の審議入りに向けた動議(motion to proceed)に対する討議終結(cloture)動議。米上院が公表した日程によると、採決は同日午後2時15分(米東部時間)に予定されている。
採決を前に、大統領デジタル資産諮問評議会のエグゼクティブディレクターを務めるパトリック・ウィット(Patrick Witt)氏と、スコット・ベッセント(Scott Bessent)米財務長官が、共和・民主両党の上院議員に手続き採決を支持するよう相次いで呼びかけた。
ウィット氏は、法案に懸念が残っている場合でも、まず審議入りを認めた上で、修正手続きを通じて議論を続けるべきだとの考えを示している。
ベッセント氏も、議員らに交渉を継続し、審議入りに向けた動議を支持するよう要請した。法案の審議入りが阻止されれば、米国にデジタル資産分野を主導する意思がないとのシグナルを同盟国や敵対国に送ることになると警告した。
法案交渉を主導するシンシア・ルミス(Cynthia Lummis)上院議員らは9月14日、最終案を公表した。ルミス氏らによると、最終案には民主党側の要望を受けた126件の実質的な修正が反映されたという。
最終案では、分散化されていないDeFi(分散型金融)プロトコルが商品先物取引委員会(CFTC)への登録や銀行秘密法(BSA)の対象となる条件を明確化した。また、DeFi関連規定の適用範囲や、信用組合によるデジタル資産業務についても修正が加えられた。
公職者による暗号資産事業への関与を巡る倫理規定も、法案交渉の主要な争点となってきた。
最終案には、大統領や副大統領、連邦議員、連邦判事などの公職者とその配偶者が、対価を得てデジタル資産を発行またはスポンサーすることを禁止する規定が盛り込まれている。また、一定の「重要な金融持分」について、売却または適格ブラインドトラストへの移管を求めている。
倫理規定は米司法長官に加え、一定の条件下で州司法長官も執行できる内容となった。なお、9月14日に公表された最終案には、倫理規定を2029年1月20日に失効させる条項は盛り込まれていない。
こうした議論では、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領やその一族による、ミームコインや暗号資産プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)」への関与も焦点となっている。
このほか、ステーブルコイン保有者への報酬提供、DeFiへの規制、銀行秘密法の適用、銀行預金への影響なども主要な争点となっている。
最終案には、ステーブルコインの報酬提供に伴い地域銀行から重大な預金流出が生じていると財務長官が判断した場合、報酬を制限する規制を導入できる仕組みも追加された。
ただし、一連の修正によって民主党側から十分な支持を確保できたかは、依然として不透明だ。
討議終結には60票が必要となる。現在の上院は共和党53議席、民主党45議席、無所属2議席。このため、共和党議員が全員賛成した場合でも、民主党・無所属側から少なくとも7票の賛成が必要となる。
さらに共和党内では、ランド・ポール(Rand Paul)上院議員やジョシュ・ホーリー(Josh Hawley)上院議員が反対に回る可能性も指摘されている。共和党から離反者が出れば、民主党・無所属側から必要となる賛成票はさらに増える。
今回の採決は、CLARITY法案そのものの最終採決ではない。法案を本会議で審議するための手続き上の関門となる。
討議終結動議が可決された場合、9月14日に公表された最終案が、下院を通過したH.R.3633を全面的に置き換える修正案として提出される予定だ。
その後も上院本会議での審議や修正、追加の採決が必要となる。上院が法案を可決した場合も、法案成立には下院による同一文面の可決と大統領の署名が必要だ。
一方、11月の中間選挙を控え、2026年中に法案を成立させるための立法日程は限られている。ウィット氏も、今回の機会を逃せば、市場構造法制を成立させる次の機会が数年先に遠のく可能性があるとの認識を示している。
参考:報道
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