ZKsync開発元、「プリビディウム」中核をオープンソース化。独連銀が初のセルフホスト導入

金融機関が自社環境でパーミッション型チェーンを運用可能に

イーサリアム(Ethereum)L2「ジーケーシンク(ZKsync)」の開発元であるマターラボ(Matter Labs)が、金融機関向けブロックチェーン基盤「プリビディウム(Prividium)」の中核となるパーミッション管理エンジンをオープンソース化したと9月8日に発表した。

プリビディウムは、金融機関などが機密情報を扱いながら利用することを想定した、プライベートかつパーミッション型のブロックチェーン基盤だ。パーミッション型チェーンでは、管理者がネットワークにアクセスできるユーザーや、各ユーザーが利用できる機能を制御する。

今回オープンソース化された「プリビディウム・コア(Prividium Core)」は、ユーザーの役割やアクセス権限を管理する中核部分だ。マターラボによると、金融機関は公開されたコードを自ら検査・変更し、自社の環境で運用できるという。また、プリビディウム・コアの公開により、すでにオープンソース化されているジーケーシンクOSなどと組み合わせ、公開コードからパーミッション型チェーンを運用できるようになった。

マターラボの発表では、ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank)が、プリビディウムを自らのインフラでセルフホストする最初の機関となった。同行のスマートコントラクトやトークンデータは、自らの環境内に保持されるとのこと。マターラボと同行は、プリビディウムの設計とテストでも協力している。セルフホストとは、外部事業者にシステムの運用を任せるのではなく、利用者自身の環境で運用する方式を指す。

一般的なパブリックブロックチェーンでは、ネットワークへのアクセスが広く開かれ、取引データも公開される。一方、金融機関では顧客情報や取引情報の機密性を確保し、システムへアクセスできる主体を管理する必要がある。プリビディウムでは、取引データやブロックチェーンの状態を公開チェーンに保存せず、運営主体の環境内で管理する。

取引が正しく処理されたことの検証には、ゼロ知識証明(ZK Proof)が使われる。ゼロ知識証明は、元となる情報そのものを明らかにせず、その情報に基づく計算が正しいことを証明する暗号技術だ。プリビディウムでは取引データを外部に公開せず、取引処理後の状態を要約したハッシュ値(ステートルート)とゼロ知識証明をイーサリアムへ送信する。これにより、機密情報を運営主体の環境内に保持しながら、ブロックチェーンの状態更新が正しいことをイーサリアム上で検証できる。

また、プリビディウムでは管理者がユーザーごとに役割を設定し、スマートコントラクトのデプロイや各機能へのアクセス権限を制御できる。監査人や規制当局などに対して、必要な情報だけを選択的に開示することも可能だ。

マターラボは今回のオープンソース化を、金融機関が新しいインフラを採用しながら、その運用や管理を自ら担えるようにする取り組みと位置付けている。ジーケーシンクは公式Xアカウントで、金融機関には自ら運用・検査・変更できることが重要だと説明。特定のベンダーに依存せず、金融機関自身が技術基盤を管理できることを「金融テクノロジーにおける主権(Financial Tech Sovereignty)」と表現している。

参考:ZKシンク ・ドキュメント
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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