イーサリアム「ヘゴタ」の必須EIP公表。ETHを持たずに取引可能へ、量子耐性への移行も支援

ヘゴタの必須EIPにFOCILとFrames

イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)のプロトコル部門が、イーサリアム(Ethereum)の大型アップグレード「ヘゴタ(Hegotá)」で必ず実装すべき2件のEIP(イーサリアム改善提案)を公表した。EFが9月7日に公式ブログで発表した。

必須提案は「フォシル:FOCIL(EIP-7805)」と「フレームトランザクション(Frame Transactions:EIP-8141)」だ。EFのプロトコル部門「EFプロトコルクラスター(EF Protocol Cluster)」は、両提案を「Sティア(Must ship)」に位置付けた。

今回の評価では、約60人の研究者とエンジニアが、ヘゴタへの採用が提案された62件のEIPを検討した。同部門がチーム別ではなく、部門全体の統一見解を公表するのは今回が初めてとのこと。Sティアの提案に問題が生じた場合、対象から外す前にアップグレードの日程を調整する方針とのことだ。

ヘゴタは、「グラムステルダム(Glamsterdam)」に続くアップグレードだ。EFは、グラムステルダムを2026年12月に実施する想定だ。また同財団によると、クライアントチームは2026年第4四半期後半からヘゴタの実装作業に着手できる見込みだという。

また両EIPは、ヘゴタへの実装予定を示す「SFI(Scheduled for Inclusion)」に指定されている。ただし、仕様文書のステータスは現在も「Draft(草案)」で、ヘゴタの詳細仕様が最終確定したわけではない。

FOCILは、コンセンサスレイヤーにおけるヘゴタの中心機能だ。複数のバリデータが作成する「インクルージョンリスト」に基づき、条件を満たすトランザクションをブロックへ含めるようビルダーに求める。中央集権的なビルダーだけに依存せず、ユーザーの取引が取り込まれる経路を確保することで、検閲耐性の向上を目指す。対象取引などを定めるEIP-8369とともに実装する方針だ。

一方のフレームトランザクションは、トランザクションを検証、ガス代支払いの承認、処理の実行などを担う複数の「フレーム」に分ける新形式だ。署名方式やガス代の支払い条件をプログラムできる「ネイティブ・アカウント抽象化」の実現を目指す。EFは同提案を、プライバシー取引を支えるEIP-8250とEIP-8272とともに実装する方針だ。

同提案では、利用者に代わってスポンサーがガス代を負担し、利用者がERC-20トークンでスポンサーへ支払う構成も可能になる。利用者自身はETHを保有せずに取引できるが、イーサリアムのネットワークに支払うガス代は、引き続き支払者がETHで負担する仕組みだ。

またフレームトランザクションは、鍵の変更や複数操作の一括実行に対応するほか、新たな署名方式をハードフォークなしで導入できるようにする。これにより、量子コンピューターに耐性のある署名方式への移行を支える。

同部門はこのほか、実装が見込まれる「Aティア」、条件付きで採用を検討する「Bティア」、現時点では採用基準に届かない「Cティア」などに提案を分類した。一部の提案については、グラムステルダム実施後のデータを待って判断する方針だ。

EFプロトコルクラスターは、イーサリアムL1の実行、コンセンサス、データの3レイヤーすべてで、2029年12月までに量子耐性を確保する目標も掲げた。ヘゴタ自体はポスト量子(Post-Quantum:PQ)対応を完了するアップグレードではないものの、その後のPQ対応を予定通り進められるかを左右する位置付けだという。

参考:公式ブログ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。