SEC、暗号資産カストディ規則の見直し案をOMBに送付

2023年の規則案は撤回

米証券取引委員会(SEC)が、投資顧問業者やファンドによる暗号資産のカストディ(保管)ルールを見直す規則制定案を、ホワイトハウス行政管理予算局(OMB)の情報・規制問題局(OIRA)に送付したことが分かった。

規制情報公開サイト「Reginfo.gov」によると、規則制定案件は「Amendments to the Custody Rules」(RIN:3235-AN46)として登録され、OIRAが8月25日に受理した。現在は規制審査中となっている。なお、OIRAへの送付は、規則案の正式公表や採択を意味するものではない。

SECは今回、1940年投資顧問法および1940年投資会社法に基づく既存規則の改正や新規則の提案を検討している。

規制アジェンダによると、投資顧問の顧客資産やファンド資産の保管に関する規制を改善・近代化し、暗号資産への対応を明確にすることが目的だ。

SECは、投資顧問業者や投資会社から、既存のカストディ要件を満たしながら暗号資産をどのように保有すべきかについて疑問が寄せられていると説明。また、市場や証券の取引・保有慣行の変化を踏まえ、投資家保護のためにもはや必要とされない旧来の規定による負担を取り除くことも検討するという。

同案件は「Proposed Rule Stage(規則提案段階)」にあり、規制の優先度は「Economically Significant(経済的に重要)」に分類されている。また大統領令14192に基づき「Deregulatory(規制緩和的)」と位置づけられた。

規制アジェンダでは、規則制定案の公示(NPRM)の目標時期を2026年10月としている。ただし、この時期は確定したものではない。

SECはゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)前委員長の下でも、暗号資産を含む顧客資産のカストディ規制強化を進めていた。

2023年に提案された「Safeguarding Rule」では、投資顧問業者がカストディする顧客資産の対象を、従来の資金・証券から暗号資産を含むすべての資産へ広げる方針が示された。また原則として、顧客資産を連邦・州の認可を受けた銀行・貯蓄金融機関、一部の信託会社、SEC登録ブローカー・ディーラーなどの「適格カストディアン(Qualified Custodian)」に保管させるとしていた。

当時ゲンスラー氏は、暗号資産プラットフォームの一般的な運営形態を踏まえると、投資顧問業者はそれらを適格カストディアンとして頼ることはできないとの見解を示していた。

同規則案には暗号資産業界や金融機関などから反発が相次ぎ、最終規則化には至らなかった。SECはポール・アトキンス(Paul S. Atkins)委員長の就任後となる2025年6月に同案を撤回した。

一方、米暗号資産メディア「コインデスク(CoinDesk)」によると、2023年以降は暗号資産業界で、連邦レベルのトラストバンク・チャーターの申請や条件付き承認が相次ぎ、暗号資産を取り扱える金融機関も増えているという。

今回の規則案の具体的な内容は現時点では明らかになっておらず、2023年案からどのように変更されるかが注目される。

2025年にアトキンス氏がSEC委員長に就任して以降、SECは暗号資産政策について、執行措置を中心とした対応から規則制定やガイダンスによるルール整備へと方針を転換している。

SECは2025年、コインベースに対する訴訟を取り下げたほか、ミームコインやステーキングについて証券法上の取り扱いを示すスタッフ見解を相次いで公表した。

また今年8月18日には、暗号資産に関わる一定の投資契約を対象とした専用の募集規制枠組み「Regulation Crypto Assets」を規則案として公表している。

SECの規制アジェンダには、暗号資産に関するブローカー・ディーラーの財務責任・記録保存・報告規則の改正案も含まれている。

今回のカストディ規則については、OIRAによる審査を経た後、SECが正式な規則提案の公表に向けた手続きを進める可能性がある。今後は、規制アジェンダが目標とする10月のNPRM公表が実現するかとともに、適格カストディアンの範囲や暗号資産特有の保管方法について、SECがどのような枠組みを示すかが焦点となる。

参考:Reginfo.gov報道
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者