XRPレジャー、トークン化資産の実利用に向け5機能追加へ、次期「xrpld 3.3.0」でプライバシーやDvPなど強化

トークン化資産の実利用を見据えたアップデート

リップルX(RippleX)のプロダクト責任者ジャジー・クーパー(Jazzi Cooper)氏が、XRPレジャー(XRP Ledger)の次期ノードソフトウェア「xrpld 3.3.0」に5つのアメンドメント(ネットワークへ新たな機能を追加する仕様変更)が含まれる予定だと、自身のXアカウントへの投稿で7月31日に発表した。XRPレジャーは、暗号資産(仮想通貨)XRPの送金やトークン発行などを支えるブロックチェーンだ。同氏は投稿時点で、翌週のリリースを見込んでいると説明した。

クーパー氏は、XRPレジャーがすでに大規模なトークン化資産を支えられることを証明しており、次の段階として、グローバル送金や取引、担保利用、清算などの実利用を進める必要があると説明した。今回追加予定の5つのアメンドメントは、こうしたトークン化資産の活用を支える機能と位置付けられている。

具体的には、残高や送金額の秘匿、複数取引の一括処理、取引権限の委譲、第三者による手数料や準備金の負担、トークン発行後の設定変更などに対応する。特に、金融機関による利用を想定したプライバシー保護や権限管理、決済機能などが含まれるとのこと。

追加予定の機能の1つ「コンフィデンシャルMPT(Confidential MPT)」は、XRPレジャー上でさまざまな資産を発行・管理するためのマルチパーパス・トークン(MPT)の残高や送金額を秘匿できる機能だ。ゼロ知識証明と楕円曲線暗号を組み合わせることで、公開ブロックチェーンでも残高や送金額を非公開にできる。一方、監査人や規制当局など指定された関係者は、必要に応じて情報を確認できるという。

「バッチ(Batch)」は、1つまたは複数のアカウントによる最大8件のトランザクションをまとめて処理できる機能だ。複数の実行方法に対応しており、このうち、すべての取引が成功するか、すべて失敗するかのどちらかとなるアトミック処理を利用することで、証券と代金を同時に受け渡すDvP(Delivery versus Payment)やアトミック清算などに活用できるとのこと。

「パーミッション・デリゲーション(Permission Delegation)」は、秘密鍵の署名権限を渡すことなく、限定的な取引権限だけを委譲できる機能だ。金融機関では担当部門ごとに操作権限を分ける運用が一般的であり、財務部門が発行鍵を保持したまま、トレーディング部門や運用チームへ特定の操作のみを許可できるようになるという。

「スポンサード・フィー・アンド・リザーブズ(Sponsored Fees and Reserves)」では、銀行やトークン発行体、プラットフォームなどが、利用者に代わってXRPの取引手数料やアカウント準備金を負担できる。これにより、利用者は事前にXRPを取得・管理しなくても、ネットワークを利用しやすくなる。金融機関や一般消費者向けアプリケーションにおける利用開始時のハードルを下げられるとのこと。

「ダイナミックMPT(Dynamic MPT)」では、トークン発行時に、将来変更できる設定項目をあらかじめ定義できる。現在のMPTは発行後の設定が実質的に固定されるため、送金手数料やメタデータなどを変更する場合、新たなトークンを発行して保有者を移行させる必要がある。同機能により、ビジネス要件や規制変更に応じて、事前に指定した項目を更新できるようになるという。

なお、「バッチ」と「パーミッション・デリゲーション」については、過去にセキュリティ上の問題が発見され、メインネットでの有効化が見送られていた。いずれも改訂版が用意され、今回の「xrpld 3.3.0」に含まれる予定とのこと。

これらのアメンドメントは、ソフトウェアのリリースと同時に有効化されるわけではない。XRPレジャーでは、ネットワークへ新機能を導入する際にバリデーターの承認が必要となる。今回の5つのアメンドメントについても、信頼するバリデーターの80%超による支持を2週間連続で維持することが、有効化の条件となる。

画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。