BNY、デジタルネイティブ型ファンド向け「Digital TA」提供開始

一本寿和

ファンド持分の法的所有権をオンチェーンで記録

米金融サービス大手バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(The Bank of New York Mellon Corporation:BNY)が、デジタルネイティブ型ファンド向けに、投資家名簿や持分の発行・償還などを管理する「デジタルトランスファーエージェンシー(Digital Transfer Agency:Digital TA)」機能を提供開始した。BNYが7月29日に発表した。

BNYはデジタルTAを通じ、トークン化、販売・流通、カストディ(保管)を統合したグローバル基盤を提供するとのこと。同基盤により、複数の法域やブロックチェーンにまたがる従来型とデジタル型のファンドのライフサイクル管理を支援するという。

またデジタルTAは、新たなミント・バーン機能を通じ、法定通貨やステーブルコインを用いたファンド持分の申込・償還を支援する。さらに、ファンド持分のオンチェーン移転や投資家間(P2P)移転にも対応する方針だ。

デジタルネイティブ型ファンドでは、ファンド持分を表すトークンをブロックチェーン上で直接発行するとのこと。既存ファンドを別のトークンで間接的に表すミラートークンやデジタルツインとは異なり、持分の法的な所有権と経済的価値がオンチェーン上に存在するという。

BNYによると、トークン化が従来型システムを近く置き換えるものではなく、従来型とデジタル型のトランスファーエージェンシーは当面併存するという。また、トークン化ファンドの運営には、ブロックチェーンへの接続、オンチェーンとオフチェーンの記録照合、スマートコントラクト設計が必要になるとのこと。

デジタルTAは当初、米国と英国の一部顧客に提供される。BNYはその後、提供対象となる地域や顧客を拡大する予定だ。 BNYは、デジタルTAを利用する初期発行体の1社として、英国の資産運用会社ベイリーギフォード(Baillie Gifford)を挙げている。ベイリーギフォードは6月22日、BNYと共同設計した米ドル建ての英国規制ファンド「Baillie Gifford Enhanced Yield Fund(BAGEY)」を開始した。

BAGEYは、イーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)上で、投資家のファンド持分を表すトークンを直接発行する。同ファンドでは、パブリックブロックチェーン上の記録が、持分所有権を示す法的な記録源として利用される。ベイリーギフォードによると、BAGEYは、適格なプロ投資家向けに提供されるものとして初の完全ネイティブ型英国規制トークン化ファンドだという。

このほか、BNYの資産運用部門BNYインベストメンツでMMFなどを手がけるドレイファス(BNY Investments Dreyfus)は、デジタルTAを活用し、ファンド持分を表す「BLIQUID」トークンを用いたデジタルネイティブ型MMFを提供する予定だ。

また、米資産運用大手ブラックロック(BlackRock)もデジタルTAを利用し、MMF「BlackRock Select Treasury Based Liquidity Fund(BSTBL)」に、新たなトークン化シェアクラス「OnChain Shares」を追加する見込みだ。同シェアクラスは、米国のステーブルコイン規制法「ジーニアス法(GENIUS Act)」に基づく決済用ステーブルコイン発行者の適格準備資産となることを想定している。

なおBNYによると、同社のファンドサービス対象資産は約8.6兆ドル(約1,404兆円)で、760万超の投資家口座を取り扱っているという。

参考:BNY
画像:PIXTA

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一本寿和

「あたらしい経済」編集部 記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。 「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。