米資産運用大手フィデリティ、CLARITY法案上院通過を求める

「投資家の信頼強化に不可欠」と表明

米資産運用大手フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)が、暗号資産(仮想通貨)の市場構造を定める米法案「クラリティ法(CLARITY Act)」の最新版テキストを支持すると、7月24日に発表した。

フィデリティはXでの声明にて、明確なルール整備が投資家の信頼を強化し、市場参加者に確実性をもたらすとともに、デジタル資産市場における米国のリーダーシップを強化するために不可欠だとの考えを示した。

フィデリティは2025年末時点で約7.1兆ドル(約1,160兆円)の資産を運用する業界大手だ。また、暗号資産業界団体のクリプト・カウンシル・フォー・イノベーション(Crypto Council for Innovation)、ブロックチェーン・アソシエーション(Blockchain Association)、デジタル・チェンバー(Digital Chamber)、さらに全米警察友愛会(National Fraternal Order of Police)などもCLARITY法への支持を相次いで表明している。

フィデリティは、「ビットコイン(BTC)」「イーサ(ETH)」「ソラナ(SOL)」を対象とする現物暗号資産ETP「FBTC」「FETH」「FSOL」を提供している。ただし、今回の声明では、支持の背景にある具体的な事業上の理由には触れていない。

CLARITY法をめぐっては、米上院共和党が7月22日までに、ステークホルダー向け説明会を経てまとめた修正版テキストを公表したばかりだ。今回の修正版には、大統領や連邦議会議員などの現職者およびその配偶者を対象に、在任中の対価と引き換えたデジタル資産の発行・スポンサーを禁止する倫理規定が新たに盛り込まれている。

この倫理規定は、トランプ大統領一族の暗号資産関連事業をめぐる利益相反への批判を背景に盛り込まれた。ただし、規制対象となる家族は配偶者に限られ、子どもなどは対象に含まれない。また、違反について民事訴訟を起こせるのは米司法長官に限られる。民主党のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員は7月22日、規定には大きな抜け穴があり、トランプ氏が暗号資産事業から利益を得ることを十分に防げないと改めて批判した。

CLARITY法案は2025年7月17日に下院を294対134で通過し、2026年5月14日には上院銀行委員会を15対9で通過したが、上院本会議での採決には至っていない。上院での調整では、ステーブルコインの報酬・利回りの扱いに加え、倫理規定やマネーロンダリング対策などが争点となってきた。

コインベース(Coinbase)は1月、ステーブルコイン報酬の制限だけでなく、トークン化株式、分散型金融(DeFi)、米商品先物取引委員会(CFTC)の権限など複数の問題を理由に、当時の法案への支持を撤回した。ただし、ブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEOは4月に法案の可決を求める立場へ転じ、7月23日にも上院本会議での採決を求めている。米銀行業界は、暗号資産取引所がステーブルコイン保有者に報酬を提供すれば、銀行預金の流出につながりかねないと主張している。

業界3団体も上院指導部に書簡

フィデリティの支持表明と同じ7月24日、クリプト・カウンシル・フォー・イノベーション、デジタル・チェンバー、ブロックチェーン・アソシエーションの3団体も、上院のジョン・スーン(John Thune)多数党院内総務(共和党)とチャック・シューマー(Chuck Schumer)少数党院内総務(民主党)宛てに連名書簡を送付し、CLARITY法の本会議での優先審議を求めた。

直近の修正版に盛り込まれた倫理規定を巡っては民主党側の反発が根強く、ルーベン・ギャレゴ(Ruben Gallego)上院議員は「ポリティコ(Politico)」に対し、共和党案は「真剣な取り組みとは言えない」と批判した。

上院での最終可決自体は原則単純過半数だが、フィリバスターを打ち切って採決に進むための討論終結動議には通常60票が必要となる。上院の構成は共和党53、民主党45、無所属2で、無所属2人は民主党会派に所属する。共和党議員全員が賛成しても、民主党系から少なくとも7票が必要となる計算だ。

予測市場カルシ(Kalshi)の取引価格では、8月8日までに上院で採決が行われる確率が、7月24日時点で一時40%と織り込まれていた。

参考:書簡 
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者