ワールド財団、WLD売却で約86億円調達。「ワールドID」世界展開へ

AI時代の「人間であることの証明」需要拡大を背景に

ワールド・プロトコル(World Protocol)の管理を担う独立した非営利団体のワールド財団(World Foundation)が、戦略的投資家へのWLDトークン販売の初回クローズで5,250万ドル(約86億円)を調達したと7月24日に発表した。調達した資金は、「ワールドID(World ID)」のグローバル展開に活用される予定だ。

ワールド(World)は、AI時代に実在する人間によるネットワークの構築を目指すプロジェクトだ。その中核となるワールドIDは、オンライン上で自身が固有の人間であることを証明する「人間であることの証明(Proof of Human)」の基盤として開発されている。

同財団は、AIエージェントやAIツールの普及により、人間とAIをオンライン上で区別する仕組みの重要性が急速に高まっていると説明している。人間であることを確認できなければ、広告の閲覧数やエンゲージメントの信頼性が損なわれるほか、マッチングサービスや投票システムなどでも信頼性の確保が難しくなるとの見方を示した。

こうした課題に対し、ワールド財団の説明では、利用者は専用認証端末「オーブ(Orb)」で認証を受けることで、利用先のサービスに氏名などの身元情報を開示せず、自身が実在する固有の人間であることをオンライン上で証明できるとのことだ。

今回の初回クローズはパンテラ・キャピタル(Pantera Capital)が主導し、ベイン・キャピタル・クリプト(Bain Capital Crypto)、エイトコ・ホールディングス(Eightco Holdings)、セリーニ・キャピタル(Selini Capital)、サスケハナ・クリプト(Susquehanna Crypto)なども参加した。今回販売されたすべてのWLDには、12カ月間のロックアップが設定された。なお同財団は、WLDはワールド・ネットワーク内で利用されるトークンであり、企業の株式持分を表すものではないと説明している。

同財団は、ワールドがネットワークの構築を中心とする段階から、ワールドIDの導入や利用を拡大する段階へ移行していると説明している。今年に入り、ズーム(Zoom)、ドキュサイン(Docusign)、オクタ(Okta)、バーセル(Vercel)、ティンダー(Tinder)などとのワールドIDの統合・連携が発表されている。

また同財団は、ワールドが次の成長段階へ移行する要因として、今年4月17日に公開した「ワールドID 4.0(World ID 4.0)」を挙げている。同バージョンは大規模な企業向け統合に対応するほか、開発者がゼロ知識証明を活用した各種のデジタル認証情報(クレデンシャル)をワールドIDの仕組み上で開発できるよう設計されているとのことだ。

同財団によると、ワールド・ネットワーク(World Network)の参加者は3,900万人を超え、このうち1,800万人以上がオーブによる認証を完了したとのこと。また、ワールドIDによる証明の利用回数は、累計4億7,500万回を超えているとのことだ。7月24日は、ワールドが本番稼働を開始してから3周年にあたる。

参考:プレスリリース
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。