アルパカが700億円超を調達、トークン化市場・AIエージェント向け証券基盤を拡充

ピークXV主導の戦略的出資とデットファイナンス

AIエージェントによる利用を前提に設計した証券インフラを提供するアルパカ(Alpaca)が、総額4億3,500万ドル(700億円超)を調達したと7月16日に発表した。

今回の調達には、ピークXVパートナーズ(Peak XV Partners)が主導した1億3,500万ドル(218億円超)の戦略的出資と、主に暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)の親会社ペイワード(Payward)およびBMOから提供されたデットファイナンス(借入などによる資金調達)が含まれる。

戦略的出資には、エレファンド(Elefund)が主要投資家として参加した。このほか、BNPパリバ(BNP Paribas)グループのベンチャーキャピタル部門オペラ・テック・ベンチャーズ(Opera Tech Ventures)や、アンバウンド(Unbound)も新規・既存投資家として加わったという。なお今回の戦略的出資のラウンド名と新たな企業評価額は公表されていない。

アルパカは調達資金を活用し、AIエージェント向け証券インフラの開発を加速する。顧客となる金融機関が、従来の金融市場とオンチェーン市場の双方に対応した投資サービスを構築・提供・拡大できるよう、証券機能をAPIで提供するとのこと。

またアルパカは、クオンツファンドやアクティブトレーダー、マーケットメーカーなどの機関投資家向けに、APIファーストのプライムブローカレッジ(機関投資家向けの総合証券サービス)機能も拡充するという。これにより、顧客はAPIを通じてグローバル市場へ接続できるようになる。

アルパカは、株式やETF、オプション、債券、暗号資産などへのアクセスを支える証券インフラAPIを提供する米国拠点の企業だ。世界40カ国以上のフィンテック企業や金融機関など300社超にサービスを提供し、1,000万以上の証券口座を支えている。

アルパカの証券インフラは、大手暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォームにも採用されている。バイナンス(Binance)はアルパカの「ブローカーAPI(Broker API)」を活用し、米国株式・ETFの週5日・24時間取引サービスを提供。ビットゲット(Bitget)はアルパカのトークン化基盤を採用し、トークン化米国株式・ETFを扱うプラットフォーム「リアリティ(Reality)」を展開している。なお、各サービスの利用可否は法域や対象商品によって異なる。

アルパカによると、売上高は過去3年連続で前年比2倍超となったとのこと。またトークン化株式の裏付けとして保管する米国株式のカストディ残高は15億ドル(約2,400億円)を突破。AIエージェント向け機能の拡充を背景に、投資APIの月間アクティブユーザー数は直近6カ月間で約4倍に増加したという。

グローバル展開では、インドの金融特区「ギフトシティ(GIFT City)」で、国際金融サービスセンター庁(IFSCA)の認可を受けた証券会社兼決済サービス事業者を買収した。また、英国および欧州の規制当局から認可を受けた事業者を買収し、欧州経済領域(EEA)全30カ国でのパスポーティングを完了。欧州株式を皮切りに、グローバル株式の取引サービスも開始している。

今回の資金調達は、アルパカが2026年1月に実施したシリーズDに続くものだ。同ラウンドで同社の企業評価額は11億5,000万ドル(1,800億円超)となり、同社はユニコーン企業入りした。

アルパカの共同創業者兼CEOである横川毅(Yoshi Yokokawa)氏は、資産のトークン化とAIの普及により、従来の金融市場とオンチェーン市場を接続する規制準拠型インフラへの需要が今後さらに高まるとの考えを示した。

なお、日本国内の証券取引サービスを担うアルパカジャパン(AlpacaJapan)株式会社は、暗号資産およびトークン化証券を取り扱っていない。

参考:アルパカ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。