ケイマン籍マネー・マーケット型ファンドをトークン化へ
三井住友トラストグループと三井住友信託銀行が、デジタルアセット領域と信託機能を生かしたファンドのトークン化に向けた取り組みを開始することが7月9日に明らかになった。
「あたらしい経済」編集部に共有されたプレスリリースによるとこの取り組みでは、三井住友信託銀行がパブリックブロックチェーンを活用した金融商品のトークン化に関する実証実験を実施するという。対象となるのは、英領ケイマン諸島籍のマネー・マーケット型ファンドの受益権だ。
同実証では、この受益権をパブリックブロックチェーン上でトークン化し、金融商品取引法に定める「電子記録移転有価証券表示権利等」、いわゆるデジタル証券(セキュリティートークン:ST)として取り扱う。
なお同リリースでは、今回のマネー・マーケット型ファンドについて、一般社団法人資産運用業協会の規則に定めるMRFおよびMMFではなく、流動性が高く価格変動の小さい短期債券や現金などで運用するファンドを指すと説明されている。 また「あたらしい経済」編集部が三井住友信託銀行に取材したところ、実証に採用するパブリックブロックチェーンは「イーサリアム(Ethereum)」を予定しているとのこと。
同実証において三井住友トラストグループ各社は、ファンドの運用、ファンド管理、投資家登録、資産保管などの機能を一体的に担う体制を構築する。三井住友信託銀行は、セキュリタイズジャパン(Securitize Japan)およびファイアブロックス(Fireblocks)の支援を受けながら、受益権のトークン化や発行・償還に関するオペレーションを担うという。
関係者の役割として、トークン発行・償還などは三井住友信託銀行、ファンド運用はAmova Asset Management U.K. Limited、ファンドの受託はG.A.S.(Cayman)Limited、ファンド管理および投資家登録事務はSMT Fund Services(Ireland)Limited、ファンド資産の保管はSumitomo Mitsui Trust Bank(U.S.A.)Limitedが担う想定だ。
三井住友信託銀行は、2026年度中の本格的なデジタル証券発行を視野に、投資家保護などパブリックブロックチェーン特有の課題を検証し、実用化に向けた知見の獲得を目指す。外国籍の投資信託受益権をパブリックブロックチェーン上でトークン発行する取り組みが実現した場合、本邦信託銀行として国内初の取り組みになると想定しているという。
背景には、北米を中心にパブリックブロックチェーンを活用したファンドのトークン化が進展していることがある。三井住友トラストグループは、ファンドの運用・管理・保管といった資産管理のバリューチェーンを活用した「デジタルアセット基盤」の提供を目指すとともに、同実証を通じてトークン化ファンドに関する運用ノウハウを蓄積する方針だ。
同グループは今後、実証で得たノウハウを生かし、運用会社や販売会社など幅広い顧客、多様なアセット、Web3企業によるユースケースに対応したオープンな基盤の構築を目指す。将来的には、ステーブルコインとの即時決済(DvP)、スマートコントラクトを活用した付利の自動化、24時間365日・国境を越えた取引の実現なども見込むとしている。
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