英国の暗号資産規制は来年10月25日に施行へ
英国の金融行動監視機構(FCA)は6月30日、特定の暗号資産(仮想通貨)関連活動を本格的に監督対象に組み入れる規制を公表するなか、業界からの反発を受け、ステーブルコイン発行者に対して予定していた自己資本要件を引き下げるとした。
世界各国の政策当局は、消費者保護と競争力維持のバランスを取るよう圧力を受けている。特に、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権が打ち出した暗号資産に友好的な政策を前に、その対応を迫られている。
英国のレイチェル・リーブス(Rachel Reeves)財務相は12月、FCAの規則について、市場に「明確なルール」を示し、「問題のある事業者」を排除するものになると述べていた。
FCAは業界との一連の協議を経て、企業に対し、発行するステーブルコイン総額の1%に相当する自己資本の保有を求める主要な資本要件を、従来提案していた2%から引き下げるとした。
FCAは、この変更について、企業が国際的に競争できる「均衡の取れた」制度を構築することを目的としていると説明した。
当局者によると、英国の規制当局は当初、ステーブルコインに関する基準を高く設定しすぎていたという。
FCAで決済・デジタル金融担当エグゼクティブディレクターを務めるデイビッド・ギール(David Geale)氏は記者団に対し、「われわれが得たフィードバックは、出発点がやや高すぎるというものだった」と述べた。同氏は、最終規則は「業界からのエビデンス」に基づくものだと付け加えた。
ステーブルコインは、主に法定通貨の価値に連動させ、政府債などの伝統的資産を裏付けとして一定価値を維持するように設計された、ブロックチェーン上で発行・移転されるトークンの一種だ。主に暗号資産取引で利用されているほか、決済での利用も増えている。
FCA、その他の要件も緩和
FCAは、その他の従来案も緩和した。具体的には、企業がステーブルコインを償還する顧客に償還代金を返還する期限について、一定の場合により長い期間を認めるほか、一部の公表義務を削除する。
暗号資産取引所についてFCAは、暗号資産市場の運営実態をより適切に反映するため、暗号資産取引に関する規則案を調整するとした。
新たな規制制度は2027年10月25日に施行される見込みだ。
大半のステーブルコインはFCAの監督下に置かれる一方、決済で広く利用される可能性がある「システミック」とみなされるステーブルコインは、イングランド銀行(Bank of England)のより厳格な制度の下で規制される。
ロイターによると、発行者に関するFCAの規則はポンド建てステーブルコインのみを対象とする。ポンド建てステーブルコインは、世界市場のごく一部にとどまっているという。
ポンド建てステーブルコイン「tGBP」を発行するビーシーピー・テクノロジーズ(BCP Technologies)の共同創業者兼CEOであるブノワ・マルズーク(Benoit Marzouk)氏は、引き下げ後の1%要件であってもなお厳しいと述べた。同氏は、米国の規則では発行額に連動しない一律の資本要件が採用される可能性が高いと指摘した。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
UK dilutes stablecoin capital requirement in final crypto rulebook
(Reporting by Phoebe Seers; Editing by Tommy Reggiori Wilkes)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters