IP管理基盤のストーリーがAI学習データ基盤へ事業転換、「データネットワーク」にリブランディング

AI学習データ向け基盤「Trace」を提供

知的財産(IP)の管理基盤「ストーリー・プロトコル(Story Protocol)」として知られる「ストーリー(Story)」が、「データ(DATA)」へのリブランドを6月26日に発表した。

これに伴い、運営組織名を「ストーリー財団(Story Foundation)」から「データ財団(The DATA Foundation)」へ、ネットワーク名を「ストーリー・ネットワーク(Story Network)」から「データネットワーク(DATA Network)」へ変更する。また、独自トークン「IP」は「DATA」へ移行することも明らかになった。

ストーリー財団は、IP管理基盤に特化したレイヤー1(L1)ブロックチェーン「ストーリー・ネットワーク」を2025年2月にメインネットとして公開した。同プロジェクトでは、クリエイターが作品の利用条件や収益分配ルールをブロックチェーン上で管理できる仕組みを提供していた。

データ財団によると、今回のリブランドは、IPのライセンス管理基盤から、AI学習データ向けインフラへ事業の軸足を移すためのものだという。同財団は、データネットワークについて、AI学習データの出所証明、ライセンス管理、収益化、監査可能性を支える基盤を目指すとしている。

同財団は、2025年にエンターテインメントやクリエイター向けツール、ゲームなど幅広い分野へ取り組みを拡大したと説明した。一方で、音楽やゲーム、ブランドなど価値の高いIPを保有する企業は、自社IPを厳格に管理しており、許可不要なライセンスという考え方とは両立しにくかったとしている。

その一方で、同財団が育成したAIデータ処理プロジェクト「ポセイドン(Poseidon)」では、ストーリー・プロトコル上で管理されるライセンス可能なデータへ即座にアクセスできたという。その後、ポセイドンはa16zクリプトから1,500万ドル(約24億円)のシード資金を調達し、AI基盤モデル開発企業から早期に反応を得たと伝えている。

同財団は、この経験を通じて、需要が最も強かったIPの形はAI学習データだったと説明している。データネットワークでは、AI企業が求めるデータの調達、出所証明、品質保証を支援するため、監査・ライセンス基盤「トレース(Trace)」およびデータ処理基盤のポセイドンを提供する。

トレースでは、データネットワークに登録されたデータについて、データの出所やライセンス契約、利用履歴、支払い状況などを確認できる。ただし、データ本体は機密性を保ったまま、監査用の記録を確認できる設計だ。またポセイドンでは、生データの整理や構造化、品質評価、ライセンス確認などを行い、AI学習用データセットへ加工するという。

また同財団は、人間由来データのマーケットプレイス「クレッド(Kled)」との提携も発表した。クレッドでは15億件を超える画像や動画などがアップロードされており、今後は同マーケットプレイスを通じて登録されたデータがデータネットワークへ記録されるとのこと。

さらに、クレッド創業者兼CEOのアヴィ・パテル(Avi Patel)氏が、データ財団の最高データ責任者(Chief Data Officer:CDO)としてアドバイザーに就任することも発表された。同氏は今後もクレッドのCEOを継続する。

画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。