EU暗号資産認可の移行期限に延長なし、スペイン当局が明言

ESMAも未認可業者に秩序ある撤退求める

欧州連合(EU)の暗号資産規制「MiCA(暗号資産市場規則)」の移行期間が6月30日末で終了し、7月1日以降は未認可事業者によるEU顧客向けサービス提供が認められなくなるのを前に、欧州の規制当局が未認可の暗号資産事業者への対応を強めている。

スペインの証券市場監督当局であるスペイン国家証券市場委員会(CNMV)のカルロス・サン・バシリオ(Carlos San Basilio)委員長が、スペイン・サンタンデールで開催されたイベントで、MiCA認可を取得できていない暗号資産事業者に対する期限延長や例外措置は「一切ない」と6月26日に述べた。

バシリオ委員長は、MiCA認可を取得できなかった事業者について、EU域内での事業を秩序ある形で縮小・終了する必要があると説明。未認可事業者と連絡を取りながら、顧客保護を最優先に秩序ある事業終了を進めていく考えを示した。

世界最大級の暗号資産取引所バイナンス(Binance)も、現時点でMiCA認可を取得していない主要事業者の一つだ。

バシリオ委員長は、数百万人規模のユーザーを抱えるプラットフォームについては対応がより複雑になると認めつつも、顧客資産や現金の移管が適切に行われるよう当局が監視を続けていると説明。また、事業者に対しては撤退計画を利用者へ明確に伝えるよう求めているという。

バイナンスは6月24日、ロイターへのインタビューにて、EU市場にとどまる方針を示し、新たな認可取得に向けた取り組みを進めていると表明した。同社はギリシャでMiCA認可の取得を目指していたが、ギリシャでの申請を取り下げ、別のEU加盟国で認可取得を目指すと6月24日に発表している。

ESMAは無許可事業者に事業縮小を呼びかけ

一方、欧州証券市場監督機構(ESMA)は6月23日、MiCAの認可を受けていない暗号資産サービス提供者(CASP)に対し、EU市場から秩序ある形で撤退するための措置を速やかに講じるよう求める声明を公表した。

ESMAは、未認可事業者に対し、新規顧客の受け入れや新規口座開設、マーケティング活動、勧誘活動を直ちに停止するよう要請。既存顧客に対しては、暗号資産の売却や移転、資産の再配分、ポジション解消など、事業終了に必要な最低限のサービスのみ提供を継続すべきとの考えを示した。

またESMAは、利用者に対して、自身が利用する暗号資産事業者がESMAの登録簿に掲載されているか確認するよう呼びかけた。認可を受けていない事業者を利用する場合は、MiCAで定められた顧客資産保護などの制度の対象とならないことも改めて注意喚起している。

ESMAはさらに、各国当局や欧州銀行監督機構(EBA)、欧州マネーロンダリング対策機構(AMLA)と連携し、7月1日以降も無認可で営業を続ける事業者については協調した執行措置を講じる可能性があるとしている。

なおMiCAに基づくCASPの監督・執行は現在、主に各加盟国の規制当局が担っているが、将来的にはESMAへより大きな監督権限を付与する案も議論されている。

参考:報道ESMA声明
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者