イーサL2のアズテック、旧インフラで約216万ドル流出。4日間で被害総額430万ドル超に

4日間で2回のインシデント発生か

プライバシー技術を活用したイーサリアム(Ethereum)向けレイヤー2プロジェクト「アズテック(Aztec)」を支援するアズテック財団(Aztec Foundation)が、廃止済みプロダクトを対象としたエクスプロイト(スマートコントラクトの脆弱性を悪用した攻撃)を認識したと6月18日に発表した。

同財団によると、攻撃は6月17日に発生したという。被害を受けたのは廃止済みの旧ロールアップ「プライベート・ロールアップ・ブリッジ(Private Rollup Bridge)」だ。

オンチェーンセキュリティ企業ペックシールド(PeckShield)は、同ブリッジから約1,158ETH、15万DAI、0.47renBTCを含む約216万ドル(約3.4億円)相当の暗号資産(仮想通貨)が流出したと報告している。

アズテック財団は、被害を受けたブリッジは4年前に廃止済みであり、アズテックラボ(Aztec Labs)は同システムに対する管理権限を保有していないと説明した。また、今回のインシデントは現行のアズテックネットワーク(Aztec Network)および「AZTEC」ERC-20トークンとは無関係だとしている。

また今回のエクスプロイトに先立ち、アズテックラボは6月15日、2023年に廃止された決済プロダクト「アズテックコネクト(Aztec Connect)」で前日の6月14日に攻撃が発生した可能性を公式Xアカウントで発表していた。

その後アズテックラボは公式ブログで、6月14日に約219万ドル(約3.5億円)、さらに6月15日に同じ脆弱性を悪用した追加攻撃により約8.8万ドル(約1,400万円)が流出したと報告している。

これにより、6月14日および15日のアズテックコネクトに対する攻撃と、6月17日のプライベート・ロールアップ・ブリッジへの攻撃を合わせた被害総額は、約444万ドル(約7.0億円)規模となった可能性がある。

今回のインシデントについて、複数のセキュリティ企業や研究者が分析結果を公表している。

アズテックラボの事後報告によると、6月14日のアズテックコネクトのインシデントは、ゼロ知識証明そのものや信頼設定が破られたわけではなく、ロールアップ証明で検証されるトランザクション群と、イーサリアム上の清算処理で実際に処理されるトランザクション数との間に不一致があったことに起因するという。

セキュリティ企業のブロックセック(BlockSec)の分析でも、同インシデントの根本原因は、ロールアップの証明経路とL1清算経路が異なるトランザクション集合を処理できる状態にあった点だと指摘されている。攻撃者はこの不一致を利用し、実際の入金を伴わない残高をロールアップ内の状態に反映させたうえで、通常の出金処理を通じて資産を引き出したという。

具体的には、アズテックコネクトの「RollupProcessorV3」において、実際に処理されるトランザクション数を示す「numRealTxs」が、ゼロ知識証明で検証されるトランザクション集合と十分に結び付けられていなかったとのこと。このため、証明側では処理対象とされたデータが、L1側の清算処理では検証・処理されない「ギャップ」として残る余地があったとみられる。

一方、6月17日のインシデントについては、セキュリティ企業スローミスト(SlowMist)などが、緊急出金機能にあたる「エスケープハッチ(escape hatch)」に関連する脆弱性が悪用された可能性を指摘している。攻撃者は、操作された、または不正なロールアップ証明を用いて検証を通過させ、対応する入金を伴わない資産の引き出しを実行した可能性があるという。

またブロックセックなどの外部分析では、6月17日の攻撃は6月14日のアズテックコネクトのインシデントとは別の旧コントラクトを対象とした別インシデントとみられている。ただし、いずれも廃止済みの旧アズテック関連インフラに残されたコントラクト上の検証ロジックを突いたものとみられる。

アズテックラボは、6月17日のインシデントについても調査を進めており、詳細について今後追加情報を共有するとしている。

参考:アズテックラボペックシールド(X)
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。