スタークネットが秘匿送金機能「STRK20」公開
イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2ネットワーク「スタークネット(Starknet)」が、ERC20トークン向け秘匿送金機能「STRK20」の提供開始を6月9日に発表した。
STRK20は、スタークネット上の任意のERC20トークンについて、残高や送金額、送金先などを公開せずに利用できる仕組みだ。対応ウォレット「レディX(Ready X)」および「Xバース(Xverse)」から利用できる。
ユーザーはウォレット上で対象トークンを秘匿化(Shield)することで、公開残高を非公開残高へ切り替えられる。秘匿化した資産は、プライベート送金やプライベートスワップに利用できるほか、必要に応じて再び公開状態へ戻すことも可能だという。
同機能ではゼロ知識証明(ZKP)を活用することで、取引の正当性を証明しながら送信者や受信者、送金額などを秘匿できるとしている。
また同機能には「閲覧キー(Viewing Key)」の仕組みも組み込まれている。スタークネットによると、規制当局や監査対応など正当な要請があった場合に限り、特定ユーザーの取引履歴を確認できる設計だという。
なお、STRK20はスタークネットが今年2月から進めるプライバシー戦略の一環とみられる。スタークネットは今年2月、アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young:EY)が開発した機関向けプライバシー基盤「ナイトフォール(Nightfall)」を統合する計画を発表していた。
さらに4月にはネットワークアップグレード「シノビ(Shinobi)」を実施した。同アップグレードではゼロ知識証明をネットワークレベルで検証するための基盤機能を導入し、秘匿取引アプリケーションを構築するための技術基盤を整備している。
今回公開されたSTRK20は、その技術基盤の上で実際に利用できるプライバシー機能として提供されるものだ。ユーザーはERC20トークンを秘匿化し、送金やスワップを非公開で行えるようになる。
スタークネットは今後、レンディングやステーキング、より複雑な利回り運用などへの対応も進める方針を示している。
異なるアプローチで進むオンチェーンプライバシー
近年はブロックチェーン業界で、取引情報を秘匿しながら利用できるプライバシー機能への関心が高まっているが、その実現方法や目的には違いがある。
例えばレイヤー1ブロックチェーン「スイ(Sui)」では6月8日に、「コンフィデンシャル・トランスファーズ(Confidential Transfers)」が発表され、Devnet上で公開ベータ版が提供されている。同機能はスイ上の任意のトークンに対して送金額や残高を秘匿できる。一方で、スタークネットが提供開始したSTRK20は、残高や送金額に加え、プライベート取引における送信者アドレスや受信者アドレスも秘匿する設計を採用している。
また、スイの「コンフィデンシャル・トランスファーズ」が送金額や残高の秘匿化に加え、発行体による監査や管理機能を備えるのに対し、STRK20はプライベートトランザクションを既存のウォレットや分散型金融(DeFi)アプリケーションへ組み込むことを目指したプライバシーフレームワークとして位置付けられている。
このように、同じオンチェーンプライバシー機能でも設計思想には違いがみられる。スイが透明性や監査対応との両立を重視するアプローチを採る一方で、スタークネットはDeFiを含む既存のオンチェーン活動へプライバシー機能を組み込むことを目指している。
Privacy finally found the right frequency.
— Starknet (Privacy Arc) (@Starknet) June 9, 2026
[STRK20] is live on Starknet.
🧵 pic.twitter.com/gxGNb3hLgG