TMI総合法律事務所・TIS・三井住友トラスト基礎研究所、共施設のST化を共同研究。地方債活用も検証

TMI・TIS・SMTRIが公共施設・インフラのST化を共同研究

TMI総合法律事務所、TIS、三井住友トラスト基礎研究所(SMTRI)が、公共施設・インフラにおけるセキュリティトークン(ST)に関する共同研究の実施を5月28日に発表した。3社は同日、その初期的な検証結果を公表した。

3社は、公共施設・インフラのST化について、法的・経済的・技術的観点から課題を整理し、社会実装に向けた論点を明確化することを目的に「公共施設・インフラのST化に関する共同研究会」を立ち上げたという。今後は、民間事業者や地域関係者との具体的な実証やテーマの深掘りも進める予定だ。

発表によると今回の共同研究では、アリーナ施設、公立小中学校などの廃校施設、古民家、一般道路、上下水道、太陽光発電施設などを対象に、施設・事業ごとの所有主体や、アセットの移転・譲渡の可否を検証したという。

検証結果によると、施設の所有主体が公共である場合、施設所有権そのものを第三者へ移転することは不可と考えられる一方、サービス対価債権や売電収入債権などの金銭債権については、契約相手方の承諾などを前提に移転・譲渡が可能と考えられるという。また運営権については、法制度上、施設管理者など公共側の許可を得ることで移転可能とされるものの、対象事業の内容や性質に応じた協議が必要になると整理された。

STの投資商品としての適性については、アリーナ施設や太陽光発電施設が、一定規模の事業であり、キャッシュフローの予見性も一定程度確保できることから、収益性と地域性・社会性の両立が期待される領域とされた。一方、廃校活用事業は、個別案件ごとの規模が小さく、需要や運営内容により収益が大きく変動するため、投資商品としての収益性は限定的とされた。ただし、地域参加型・応援型の性格が強く、地域貢献や社会的意義を重視する投資家には一定の魅力があるとされている。

また上下水道などの大規模インフラについては、収益の安定性が高い一方で、法制度上の制約や事業規模の大きさから、ST化の対象とするには慎重な検討が必要だと示唆された。

商品設計の面では、アセットに紐づく権利などを移転できる場合、アセット所有権、事業の運営権、サービス対価債権などの金銭債権を裏付資産とするSTが考えられるという。一方、権利などを移転できないアセットについても、対象アセットを保有する民間事業者の匿名組合(TK)出資持分、社債、ローン債権、または民間事業者によるコーポレート調達をST化する手法が選択肢になると整理された。

さらに共同研究では、行政による資金調達手法の多様化を目的に、地方債へのST導入の可能性も検証された。地方債は地方自治法および地方財政法に基づいて発行され、資金使途は原則として上下水道などの公営事業や、学校・道路など公共施設の建設事業費などに限定される。そのため、対象事業によっては地方債の活用も可能と考えられる一方、実際の適用には法令解釈や自治体との協議が必要になるという。

3社は今後の論点として、案件特性に応じた商品・スキーム設計、販売チャネルおよび投資家保護のあり方、換金性や二次流通の整備、決済およびオペレーション体制の構築を挙げている。今後は自治体や事業者、地域金融機関などと連携し、具体案件に即した検討やST発行に向けた協議を進めるとしている。

参考:TIS
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。