米上院銀行委員会、暗号資産市場構造法案の審議前に100件超の修正案が提出=報道

DeFiへの規制強化を懸念する声も

米上院銀行委員会が5月14日に予定する暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「クラリティ法案(CLARITY Act)」の審議(マークアップ)を前に、委員会メンバーから100件を超える修正案が提出されたことが各社の報道から明らかになった。

政治メディアの「ポリティコ(POLITICO)」などの報道によると、民主党議員を中心に多数の修正提案が出されており、法案の内容を巡る攻防が激化している。

リークされた修正案リストによると、民主党上院議員が多数の変更を提案しており、共和党は比較的限定的な修正を求めている。争点の中心となっているのは、ステーブルコインへの利回り提供の可否だ。

5月12日に公開されたクラリティ法案の最新草案では、暗号資産取引所などサードパーティプラットフォームが、銀行の利息と「機能的に同等(functionally equivalent)」な形でステーブルコインの利回りを提供することを禁じている。

これに対し、民主党のジャック・リード(Jack Reed)上院議員とティナ・スミス(Tina Smith)上院議員は、禁止の基準を「機能的同等性」から「実質的な類似性(substantially similar)」へと強化する修正案を共同提出した。

クリス・バン・ホーレン上院議員(Christopher Van Hollen)は、大統領・副大統領・高官・議会議員およびその家族が暗号資産を保有・宣伝・関与することを禁じる倫理規定の導入を提案した。トランプ政権下での政府関係者の暗号資産関与を問題視する声に応える内容で、一部の共和党議員も支持を示している。

カサリン・コルテス・マスト(Catherine Marie Cortez Masto)上院議員は、ソフトウェア開発者が資金移送業者として登録しないことによる刑事責任を免責する「セーフハーバー」条項の新設を提案。多くの暗号資産関連団体が支持を表明している。

一方、エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員は40件以上の修正案を提出しており、一部のDeFiフロントエンドに対するAMLおよび対テロ資金供与規制の適用や、連邦準備制度が暗号資産企業にマスターアカウントを付与することの禁止などが含まれている。

アンディ・キム(Andy Kim)上院議員は、2025年4月に司法省が解体した「暗号資産執行チーム(NCET)」の再設置を求める修正案を提出。また、スマートコントラクトを自律稼働か否かにかかわらず制裁対象とする修正案も提出されている。

こうした一連の修正案に対し、業界団体「DeFi Education Fund(DEF)」は強く反発している。DEFは「反DeFi的な修正案」として複数の提案を列挙し、採決前に上院議員へ連絡を取るよう支持者に呼びかけた。

DEFが特に問題視するのは、クラリティ法に組み込まれていた「ブロックチェーン規制確実性法(BRCA)」の削除や弱体化につながるとDEFが主張する修正案だ。BRCAは、ユーザー資産を管理しない非カストディアル型の開発者を資金移送業者として扱わないよう保護することを目的としており、DEFは「現行法案は開発者と仲介業者を区別するための数カ月にわたる交渉の成果だ」と訴えている。

ホワイトハウスのAI・暗号資産担当責任者(AI & Crypto Czar)を務めるデイビッド・サックス(David O. Sacks)氏はX上で、「クラリティ法のマークアップは、米国を世界の暗号資産の中心地とし、イノベーションにおけるリーダーシップを維持するための歴史的な一歩だ」とコメントし、ティム・スコット(Tim Scott)上院銀行委員会委員長の尽力を称えた。

クラリティ法の前身にあたる法案は、2025年7月に下院を通過している。上院での最終可決には5分の3の票数にあたる60票が必要とみられており、共和党は少なくとも一部の民主党議員の賛成を得る必要がある。14日の審議では、どの修正案が採択されるかが、法案の行方を大きく左右することになりそうだ。

参考:報道報道
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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